11月15日ゼミ発表

今日はM2の三人の発表でした。

池田「砂利産業からみる多摩川流域の空間構造の変容」

中井「稲荷信仰と都市民衆生活空間 台東区東部地区を対象に」

芦谷「成城にみる郊外住宅地と変容」

 

いけだ「砂利産業からみる多摩川流域の空間構造の変容」

[発表]

・各年号時代における採掘業者と場所のまとめ

 それぞれの時代に有力者が存続していた

・青梅/府中/羽田で、明治42~昭和37の間の6地点における採掘業者と業者住所

 

[質疑]

・目的は?

 →砂利産業の空間的変遷を明らかにする研究(東京全域への需要と供給ではなく、あくまでも流域の空間編成についての考察)

・住所という断片的な情報を、旧住所の適した地図にプロットしていく作業をすべき

・鍛冶屋と砂利産業の関係性とは

 →旧中原街道に面した鍛冶屋が砂利産業の道具製造を江戸後期~明治初期頃は多摩川流域全体を一手に覆っていた

・農閑期に村じゅうの人が地域の鍛冶屋に道具を持参することと同様なことが、流域でも起こっていたのか

 砂利産業の道具は消耗が激しそうだが、まかなえるのか

 →砂利産業は冬に掘る(流量に対応して)=それ以外は砂利産業における農閑期

・上記のような議論を通してどこまで登場人物をだすのか(=社会的連関)、大枠を定めるべき

 砂利屋、鍛冶屋、舟屋、舟の木材屋…

 

きいこ「稲荷信仰と都市民衆生活空間 台東区東部地区を対象に」

[発表]

・6章の法人化と近年の祭祀組織について

・昭和20年代の2度の宗教法人法と平成3年の地方自治法改正による法人化の契機

大正元年から現代までの敷地の土地所有の変遷について

・稲荷社の移動経路について

[質疑]

・稲荷はなぜ移動するのか。また移動した先で祭祀組織はどう形成されていくのか

 →江戸期に移動した社が多いが、そのうちほとんどが大火によるもの。祭祀主体の変化は先天的ではなく、後天的

 後天的な祭祀組織の形成については今後の課題

宗教法人と法人化した町会の違いはなにか

 →明治初期における神社明細帳の記載の有無に大きく左右されると考えられる

 

あっしー「成城にみる郊外住宅地と変容」

[発表]

・郊外移転によりつくられた成城学園を、宅地(細分化など)に関する既往研究とは異なり、学園が主体となった都市計画として研究する

成城学園をつくった小原国芳という人物について

・成城の発展過程における契機 例)商店街の発足(昭和2年)、コンペ形式の住宅展覧会(昭和4年)など

・成城を高級住宅街として捉えた研究ではなく、国立のような学校主体の都市開発として比較検討

 

[質疑]

・本当に現代までの変遷を追うのか(近年の駅前開発まで含めるのか)

 →小原国芳という人物を中心として進める予定

昭和2年の商店はいま名残があるのか 例)成城石井など

 →ほとんど名残はないと考えられる

・小原国芳の思想史はどうか

・いままでの時間や鉄道の話は?

 →小田急線自体が他線と比較しても駅周辺の市街化(まちづくり)に興味が薄いとわかった

・鉄道会社などの開発主体がない場所でも、成城のように市街化されることとはなにか

・小原国芳が、区画整理組合/成城学園地所部/各地主の間でどのような立場にいたのかわかったらその先の空間のことまでわかるのでは

 

M2も残すところあと発表1回になりました。

研究の細部にはいりこむときは、つねに大枠を頭の片隅におきながら研究を進めていこうと思った今日この頃でした。

 

中井