2016 07/07 ゼミ発表 B班
今日の発表はB班(富山、今、河野、関根)でした。
Keywords: 宗教建築と公共建築、モニュメント、エンジニア的仕事とブリコラージュ、トマソン、チャブ屋、一元論と多元論
以下が発表の詳細です。
富山「世俗化と建築」
[発表]
・19世紀の宗教建築:国や自立的な世俗アソシエーションであることが多い。
・[日本コンペ]政教分離の中での広島平和記念堂(村野)と広島ピースセンターとの関係
宗教論的には、
平和祈念堂→カトリック直営 ピースセンター→世俗社会によるもの
「このような聖性関連施設の位置のなかに、現代におけるモニュメントの課題が表現されているように思われる。」
・「都市計画はなぜ無宗教か?」
都市計画には一般的に宗教施設の配置などは考慮されていない。
そもそも「都市計画学」は宗教など関係なく体系づけられている。
[質疑]
・広島平和記念聖堂は司教座。カトリック勢力の要の一部となりうる。
公共建築か?宗教建築か?の議論が政教分離以降そのような議論があまりなされなくなってしまった。
・新しくできたニュータウンなどで新しく神社建築が作られることはない。
それを補完するように既存の神社が存在する。一方で地域住民の要請によって新しく神社が創建される場合もある。
・郊外には新興宗教ができやすいのか?
・ヨーロッパのほうが日本より政教分離のインパクトが大きかった
日本では住民行政を下部組織として寺にやらせていたから。
・パラフレーズ…理論と事例の往々
・長崎の研究は面白いかも
歴史的なコンテクストが同じ原爆被災都市である広島と大きく異なる。
それらが現在の都市構造や記念碑の分布などに影響している。
今「クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』大橋保夫訳 1976(みすず書房)」
[発表]
・概念の豊かさ
ハンディ 現地民族の無関心⇔文明における専門家の無関心
プクイ 名前を付けたもの=利用されたもの
「有用」と「関心」の二項は同等でない。
・未開志向
知識が有用性に従って決まるのではなく、知識が先にあればこそ、有用ないし有益という判定がでる。
・呪術と科学
呪術的思考と科学は独立している。
・ブリコラージュ bricolage(器用仕事)
ブリコルール(器用人)…ありあわせの道具材料を用いて自分の手でものをつくる人。
・人に残されたもの。自分のトマソンとは。北千住と中野のフィールドワークから。
[質疑]
・エンジニア⇔ブリコラージュの対比について。
近代においても両者はレンジ的に存在しているのでは?
Ex)棚田はどちらか?
ブリコルール…その情報は前もって伝えられている。それを寄せ集める。資材の集合を組み替える。
棚田の生成過程その地の石ころなどを用いるしかない場合はブリコルール的といえる。
エンジニア…今までになかったもう一つの情報を引き出そうとする。資材の集合を開く。
生産性の効率化や機械化を行う場合はエンジニア的といえる。
・トマソンの生成過程、痕跡性
トマソンを見る上で、使う人と物の配置とのギャップを捉えるだけではなく、作るという視点(上記の議論)が加わったことは研究の進展である。
河野「本牧地区におけるチャブ屋変遷」
[発表]
・戦前から戦後にかけてのチャブヤの変遷
・今後の方針として地籍図、土地台帳、電話帳を用いてチャブ屋街の復元を試みる。
・現在入手できた資料の整理
[質疑]
・大正5年と昭和5年の地図を用いた地割の変化、道路整備について
・「原富太郎」という大地主がいた。
彼の伝記や資料を集めてみるとその地の
・キーパーソンになりそうな人を行政文書で調べてみるとよい。
・研究成立の条件=論理的に構築されていること+新しい視点が最低1つあること
・三ノ輪、植木という地主
関根「一元論からの逸脱に見る村野藤吾の設計手法に関する研究-構造表現に注目して-」
[発表]
・論文構成
・予想できる成果
建築を支える構造をもろに表現としてだす構造表現主義や歴史主義、機能主義、合理主義のような一元論的な思考による手法ではなく、様々な要素を等価に扱う村野の手法を読み取りたい。構造が表現として微妙な按配で露出しそれらが機能性も担保する表現にとどまらない手法を持っている部分に村野の独自性を見出していきたい。
・講演「日本における折衷主義建築の功禍」による波紋
モダニスト ⇔ 村野
様式からの一切の分離 様式を脇に置きつつカタログ的に経済価 値・大衆に見合うと判断したときに使う
発注者や利用者に対して高飛車 社会的芸術
・作品のディテールの分析
横浜市大金沢キャンパスの教室の梁、日本橋高島屋の梁、尼崎市庁舎の柱と窓の取り合い、八重洲ダイビル、目黒区総合庁舎のファサード
[質疑]
・尼崎市庁舎の柱と窓の取り合い意匠の意図は何か?
・ディテールを詳細に書くことも大事だが、それとリンクしているネクサスシステムも描く必要があるのでは?
・ありとあらゆる要素の統合を建築は行うが、その結びつき方には多様性がある
その多元性を村野は視点として持ち合わせていたのではないだろうか。
今日はB班今期最後のゼミでした。メンバーそれぞれが自分の研究に向かって進んでいることが実感できました。小論文、修士論文の最終成果物が今から楽しみです。ほかの班のメンバーも気を引き締めて頑張っていきましょう。
B4大山