9/25 B4小論文発表会

後期最初のゼミは4年生の前期と夏休みの成果をまとめた小論文の発表でした。

A3で2枚以上と長いものではないですが、論文を書くのに慣れていないことと、工期の作業にどうつなげていくかということを視野に入れなければならないのでなかなか大変っ立ったのではないかと思います。

 

 

B4の7名が発表しました。

 

秋山祐宜「闇市・商店街・共同ビルから見る蒲田駅東西口駅前街区の戦災復興過程」

戦後蒲田に形成された多数の共同ビルと、その前身となる闇市を一体的に考える。新橋などほかの闇市との比較しながら、蒲田の位置づけを明らかにしながら、戦後の東京の戦災復興過程の一端を明らかにする。

図をどんどん作っていく作業が必要。単に行政側からの視点で用途的な色の塗り分けをするのではなく、蒲田に散らばっている共同ビルの空間形式をアクソメなどで示すことができればいいのでは。

 

笠巻優也「荻窪駅周辺の開発と商店街について」

荻窪駅周辺の都市開発とまちづくり制度、市街地再開発事業、周辺状況の把握について。

都市を見る視点が行政的、文化論的なため、建築的な可能性を見逃しているのでは。フィールドワークから得た発見を生かして自分なりに考えたことを発表してほしい。

 

神崎竜之介 「神田神保町書肆街」

神田の地域的な特性、書肆街について、組合について、古い趣のある店舗について。

神保町の成り立ちまで周辺との位置づけをふまえて追えている。しかし研究として何を明らかにしたのか、何に興味を持って取り組んでいるかが伝わってこないので何かにフォーカスして発見する視点を持ってこれからの卒業設計につなげてほしい。

 

城将「水辺空間の変遷 隅田川と日本橋川

隅田川と日本橋川に絞って、現在までの河川空間の使われ方に関する大枠での歴史的変遷について。表から裏へ、そして再び表へ転換する流れへ。

ざっくりした歴史的変遷の把握から何かをつかむよりも、自分の興味を持ったポイントに的を絞った研究を。河川空間を表にすることへの動機をもっと考える。東京都が河川空間の活用に力を入れた動機を明らかにしてほしい。

 

平場晶子「“ストリートパフォーマンス”による都市隙間空間の再生産」

スケートボーディング、ストリートダンス、グラフィティの歴史、スポットの特徴、フィールドワークからのスポットの分析に関する考察。新宿を対象として記述すると、道路や敷地の境界あたりに広がるスケートボーディングのスポットや島のように浮かぶダンスのスポット、ギャラリー兼アトリエとしての機能を果たすグラフィティのスポットが棲み分けをしながら分布しているのがわかる。

それぞれのストリートパフォーマンスをノーテーションする際に分布と配置を一体に表す方法を考えて、より詳細な空間的把握を可能にしていく。

 

吉田郁子「地方集落過疎化のメカニズムと小学校閉校の位置づけについての研究」

過疎化のメカニズムの都道府県レベル、町村レベルの人口の変遷パタンについて。世代間ですみわけがされる。小学校が閉校すると消滅へ向かう決定打となるのではないか。千葉県市原市小湊鉄道沿線の小学校統合と現地調査について。市原市は人口縮小を契機に、2013年に周辺4つの小学校を廃校にし、1つの小学校に統合した。駅前に商店街はなく、民家もまばらである。

建築的な問題についての言及がないが、ソフトの提案ではなくて建物レベルでできることはなんなのか。小学校は町や村が使うにはメガスケールすぎる。過疎地の特性を違う角度からとらえて転換するアイデアを。空間を景色の描写ではなく立体的に構造をつかみながら把握していく視点を。

 

劉雪「上海伝統的建造物群保存地区まちづくり

石庫門の歴史、開発、住民からの批判について。石庫門の場合、ディベロッパーが政府とともに開発のためと住人を追い出しショッピングモールを建設した。住民側からの批判の声もあがっている。

石庫門と開発形式が対照的な田子坊も取り上げるべきなのでは。政府主導のトップダウン的なものと草の根的な住民主導のものを比較しながら取り上げていき、中国の中でも上海は比較的校舎の開発も許されるような状況にあることを伝えるといい。

 

 

それぞれ後期の卒論や卒計につなげるつもりで研究しているので、この論文はまだその途中という感じが全体的にありましたが、この論文では目的を遠くに飛ばしすぎずに、ほんの少しでも何かを明らかにする意識で取り組んでほしかったなと個人的に思いました。

おつかれさまでした!

 

これを皮切りに、怒濤の後期が始まります!

卒論・卒計を控えたB4と、修論提出までのカウントダウンが始まったM2と、学位を提出するGさんと、(就活を控えたM1と、)、、

これからそれぞれ忙しくなりますが、楽しみつつ頑張っていきましょう!!!

 

M1 さとうあやな