11/14(水) ゼミ

本日はM2の寺内・河野の発表報告です。

 

 

■寺内「近代建築運動におけるドイツの工作概念」

発表

werkにまつわる言葉のマッピング

イギリスからの影響、フランスに対する対抗意識を踏まえて章構成とともに図解

 

・イギリスの中世回帰

モリスの近代社会批判、ゴシック芸術を民衆の芸術と評価、ギルド的生産体系

 

・第1章 社会背景と”工芸”に対する認識、”工作”への構想

美術と機械産業が分化していた18世紀

19世紀から境界が曖昧に。「工芸 kunstgewerbe」

そこから「工作 werk」への言葉の変化を社会背景とともに追う

 

・第2章 イギリス・フランスに対するドイツナショナリズム

ムテジウスの言説

「芸術 art」を批判しつつドイツ的価値観の確立

ムテジウスの各芸術家・建築家たち(ラスキン、モリス、レザビー…etc)への評価

 イギリスの工芸教育について(アーツ・アンド・クラフツ中央学校を高評価)

 

質疑

・機械の使用を前提に中産階級向けを目指す動きは、ムテジウスが推し進めたのか、時代の流れか

ナポレオンの支配→1つのイメージが国の中で共有されていない→「ドイツの芸術とは?」みたいな風潮はあったのでは。

大雑把すぎ

ムテジウスは国家官僚、国家は機関なので、国全体の動きとは違う

state と nation 産業振興や国家のことをムテジウスが代表

伝統的な職人はその流れにすぐにまとまるとは限らないし、アーティストは反発

 

ラスキンやモリス→階級という問題は外れてる。階級のないユートピアへ。

ムテジウス→中産階級を持ち出す。階級を前提。階級を作り出したのは産業社会。身分とは違う。資本的競争やお金の流れ

 ラスキンやモリスとムテジウスで認識が違う。

 

 

マッピング (hand)werker→werk→baukunst→bauhaus 等価に扱ってる気がするけど、はたしてし同レベルの言葉なのか。

言葉と運動とか段階を分けるとかして、色んなフィルターがごっちゃになってるのでは。

→団体と言葉では分けれない。概念や運動や言葉がまじりあってる。

固有名詞はbauhausだけ。他は一般名詞。

言葉が現れた時と力を持った時は、ずれるから区別が必要。

・Semperからの流れを主軸としてよいのか。

色んな考えや団体がひしめいている。それぞれの言葉が微妙にニュアンスが違ってて、どの言葉が覇権を握るか分からない状態があったはず。その局面を図に。その図に対して前後がどうなのか、その局面の動きが抽象化されたときに太い軸が見えてくる。

 

・ムテジウス『様式建築と建築芸術』(1902)

第一版と第二版の差。ムテジウスの考えの変化のきっかけはあるのか?

 

・「様式」という言葉について

様々な様式がある。様式は多様である。という考え方は19世紀的。

その中で、ヴィオレ・ル・デュクは、自分たちの時代のただ1つの様式が次にくる。という考えをしていた。

ムテジウスはどうだったのか。「様式」という言葉を使うのかどうか。

様々な様式を乗り越えた先で、これが新しい「様式」だ、とするのか、

それとも、その都度の目的と技術に合わせた結果でいい、と生成論的になったのか。

 

→見たことない造形物をも受け入れる態勢、様式は意識していた気がする。

ただ、言葉としては出てこない。ほぼ使ってない。

pure formを目指す→ 純化していくような方向性は指示してそう

 

・ドイツの標準語の識字率はどうだったのか

ロシアでは識字率で運動が変わってたりする→識字率低い→広告とか機関誌といったビジュアルが押し出される。

民衆が把握するのはだいぶ後だった。都市間の競争と全ドイツの統合。

 

・kunst~ → kunstを外してwerk → ~kunst

何とか芸術でありたい→建てることこそが芸術 と意識が変わってる?

 

 

■河野「横浜市における接収地が都市に与えた影響に関する研究」

発表

接収解除跡地の転用を把握し、他都市では見られない接収というファクターが都市に与えた影響について考察する研究。

章立て

1章 横浜の位置づけ(序章に組み込む?)

2章 横浜市域の広がり・都市計画

3章 接収と転用

4章 接収地の土地権利関係(ミクロ編、個々の接収地の変遷)

 

個々の事例紹介(4章)

1.本牧

59年までの変化を土地台帳から追った

半分以上は売られてる/地主に偏り/売却先は横浜市、大蔵省、総理府の3か所。

2.瀬谷

土地権利関係はまだ。

農地。電波障害防止制限地域の設定→地区の外側の変化

もともとほとんど国有地だったのが、1977年に民有地増(国有農地が売渡)

 

質疑

本牧について

現在は下水処理場

60年以降も売られてったということ?

→そういうことだと思う。ただ、区画整理で国有地をまとめてるので、全部売られたということはない

 

・都市に与えた影響って、どんな影響?

民有地100%だったところに、換地で新しい機能が入ってくるようになる。周辺への影響は課題。

売却して国有地にして、どんな施設がたったかで見ていく感じ

まずは内部を見るべき。民有地が国有地にがらがら変わっていくこと自体、大きな影響。

 

・売却先は横浜市、大蔵省、総理府の3か所に分かれてるのはなぜなのか。

聞きにいくべき。

 

・民有地は民有地で、接収期間中に個人から個人にとかいった動きがある。

 

 

コメント

・出典を明記すること。出典から、その資料の作り方を遡れる。

・諸条件、国有地への変化や、民有地の中での変化、場所の特徴(建築制限や耕作可能)といったこととアクターたちの思惑の変化

・生の資料に早く触れること。

 

 

本日担当:M2 今進太郎