0426 C班ゼミ発表

 

今日はB4二人の発表と滝口さんの特別講義がありました。

 

 

吉田光『ゴシック建築と中世ヨーロッパ』

【発表】

自らのゴシック大聖堂の感動が「直接的に知覚できない概念、意味、価値など内面性が空間として表現されていること」から来ると考え

ゴシック建築を研究し、感情や精神などの内面的なものが建築デザインにどう表現されているのかを知る。

そのための軸としては①中世ヨーロッパ民族の空間概念②中世の精神思想③古典的建築とゴシック建築の差異を見ていく。

 

【質問】

・なぜ、この三つに着目したのか。宗教に行かなかったのはなぜか。

・必然性の話、去年のサブゼミの『これはパイプではない』の話で、「何がこれをパイプとたらしめているのか」似ている部分がある。パイプなら、キャプションなのか、形態なのか、そういうこと。

・ルネンサンスとゴシックがどの対象者に向けてのものなのか違いも考えてみてもいいかも(ルネサンス貴族、ゴシック大衆)。

・古典建築とゴシック建築の違いを考えるのであれば風土の違いがあるのではないか。

・古典建築とゴシック建築の対比はよく上げられていること。これは19世紀末(それより前から起こっているが)に造形を対比することが意識された時から見られている。

・外界をどういう風に人間は感じるのかということは現象論、心理学で取り上げられているが、表現されているものが

・とりあえずエルヴィン・パノフスキーのスコラ学の本にどっぷり浸かってから考えるのが一番いいのでは!

 

 

 

 棟方佑香『広告に被覆された建物がつくる無個性な都市について』

【発表】

都市のイメージは何でできているのか。それは広告なのではないかと考えている。

それを裏付けるものの紹介

・世界東京化計画ー石井大五によるヴェネチアビエンナーレ国際建築展2016出展作品

都市のイメージを決めているのは建築ではない。アジア圏に多いが広告の印象が強い

・『広告都市東京』(2002 北田暁大

→80年代に西武セゾングループによる渋谷演出パルコという広告空間(渋谷らしい、服装や髪型、振る舞いを内面化したもの)を挿入する 

 

【質問】

・不動産バブルとの関係。土地の値段が上がる所に広告を出す。

 アップルは床を積み上げて収益を上げることをしていない。アップルというブランドを自己主張をしている。

・広告が並んでいるのがその街のらしさを作っていると思うのか。

・広告をどの範囲で捉えているのか。下町の商店に溢れ出している商品は広告なのか。

・都市空間をどう知覚するのかという話ならば、建築を捨象して広告に着目してもいい。

 建築についてのこだわりがあるのであれば、記号性みたいなものと建築の形態の関係性を考えていくべき。

 その際にはまずベンチューリの『ラスベガス』を読むべき。

 

 

 

滝口さんによる番外編

『未分化な空間・時間とそこからの展開 ー比例文化的視点からー』

時間と空間が未分化であるということは、どういう状態なのか

 

1.神代雄一郎『間(ま)日本建築の意匠』

言語的なアプローチから。時と間は類義語?と言える

例)時間ひま、いとま   空間すきま、はざま

 

2.西洋の時間、東洋の時間

西洋直線的な時間   東洋周期的な時間

これは建築にも表れているような気がする?

西洋シリカ式教会堂(間口が狭く奥行きが深い)

東洋寺院(間口が広く奥行きが浅い)

 

3.カント哲学の空間と時間

時間と空間は先天的なもの。西洋では時間>空間という認識がある。

空間三次元を持つ、ユークリッド空間と同じ

時間無限に進みゆく一本の線、一次元のみによって存する一系列を構成する

 

4.増田友也『建築的空間の原始的構造』の空間分節

人はどのように空間を認識していくのか。隔離という言葉がキーワードとなってくる。

例)何もない決まりのない空間から、戸口で室内に向かって立って左手奥が主人の座、男性の領域、女性の領域、客は入口に近い所と決まってきて空間が分節されていく

 

5.夢の中の空間と時間

夢の中の時間と空間は「時間」「空間」として不十分であって、「未然時間」「未然空間」と言える。カントの定義のような両者の区別もできず

混沌とした状態。

 

M2 保川