サブゼミD班「グローバル・シティ」第8、9、10章

6月28日(水)に行ったサブゼミD班「グローバル・シティ」第2回目の発表内容の報告となっています。

各章の担当がまとめを作り上げています。

 第8章 雇用と所得

本章では、成長が生み出す社会秩序について論じています。ニューヨーク、ロンドン、東京三都市それぞれの職業分布と賃金分布に注目し経済基盤を大まかに説明、新しい経済や職業が都市構造という大きな枠組みにどのように組み込まれているのかを考えることを目的としています。

本章ではあくまで公式データを用いた分析となっているので、公式ではない労働市場などより難しい問題については次章で展開していきます。

 

第1節【雇用】三都市は一つの問題を共有しているのか?

三都市ではこの20年間に産業や職業構造が大きく変わりました。生産者サービスと金融が成長、製造業は衰退しました。三都市では背景、要因は異なるが雇用が減少しました。第7章では、ある特定の産業が高成長を記録したと述べられていますが、ここで念頭におくべきことはニューヨーク、ロンドンの雇用者数の減少と、三都市すべてが財政危機を経験し、公的サービスが削減されたことです。検証すると、三都市では大きな衰退と著しい成長が同時に起きているというパターンが確認できます。

 

ニューヨーク

ニューヨークでの雇用における傾向として、製造業の衰退と1970年代以降の生産者サービスの急速な拡大が挙げられます。製造業の衰退は、フォーチュン500社に挙げられるような国内最大規模の本社のニューヨークからの移転、成長期における土地不足、州間高速道路の建設などが要因として起こり、これは都市の中心としての優位性が下がったことを意味しています。一方ではホワイトカラーと呼ばれるような産業は目覚ましい成長を遂げています。特に、FIRE(金融・保険・不動産)は中心部のマンハッタンに極端に集積しています。

 

ロンドン

ロンドンでも他の欧米諸国と同様に製造業は衰退していますが、ロンドンでの雇用減少は不況でないときに多く見られ、景気衰退の局面になるとより少ないことが見られます。しかし、製造業でも印刷、ハイテク部門、通信などの付加価値の高い部門は好況でした。またシティと呼ばれる中心地区へのFIREの極端な集積も同様に見られます。70年代以降、大量生産の増加、規模の拡大などで生産ラインが郊外へ移されるようになり、ロンドンの南東部が新たな成長の場として台頭していきました。

 

東京

東京はかつて政府による都市の再編を推進、奨励してきました。戦後の大量雇用、人口増加によって雇用の喪失は目立たず、金融・保険・不動産の急成長が見られなかった点でロンドン・ニューヨークと異なります。製造業の雇用の変化は他の二都市に比べて小さいのですが、それは古い工業地帯の崩壊、化学・鉄鋼コンプレックスの再配置などの大きな再編が背景としてありました。製造業の中でも印刷、出版、服飾業界な拡大しており、それは金融・生産者サービスとの関連があります。東京の製造業が抱える問題として、大手メーカーの経済、政治部門までもが東京に集積していること、古い工業地域での高層住宅、高層オフィスの建設ラッシュがあります。それは土地利用と地価に大きな負荷をかけてしまっています。

                                   B4 棚橋

【賃金】

3都市の経済基盤は賃金格差の拡大、サービス産業の中に低収入と高収入の仕事が極端に集中しています。中でも労働組合が力を持っていないアメリカ、イギリス、日本は高所得の人の賃金は上昇し低所得の人の賃金は減少しており、低賃金労働の増加はパートタイムジョブの増加があげられます。また専門性の高い仕事が専門性の必要ない仕事に比べ大きく雇用率が変わり、低賃金職種に従事する人が増加しています。

 

ニューヨーク

ニューヨークでは、賃金分布のトップ層の賃金は上昇し、ボトム層は減少の傾向から格差が生じています。また、ニューヨーク大都市圏の賃金のマンハッタンへの集中があり、企業者サービスの高成長が見られるが同時に低賃金労働も多く含まれ、製造業と非製造業、マンハッタンとニューヨークの他行政区、企業者サービスと他サービスのギャップが賃金データから示唆されます。

 

ロンドン

ロンドンでは、専門性、非専門性の違いによる賃金の差、また性別による賃金格差、年齢が若いほど低賃金労働に従事する傾向が見られ、どの層の中でも賃金は増えているが高所得者の増収が他と比べて相当高いので格差が大きくなり、賃金の2極化が起きています。

 

東京

最後に東京では、不動産価格の上昇により所得格差が何倍にも拡がり、都内でも地域によって賃金格差が見られます。またこのような格差が起こる背景には、産業構造の変化に伴う専門職の増加や、成長部門で働く低所得者層の増加があります。

 

ニューヨーク、ロンドン、東京の3都市における雇用、賃金の似た傾向として、時期や規模は異なるが製造業が縮退し生産者サービスが増加しています。平均給与が高いのは金融であるが、性別による格差が大きい、専門職とサービス職が激増するが専門職の給与が最高額になることがあってもサービス職の給与は低くなっている、臨時雇用労働が成長産業を中心に増えて担い手は女性に偏りフルタイム雇用より賃金が安いことがあげられます。3都市ともに周りの都市との格差が開いていいて、サービス経済への移行により低賃金労働が増え、様々なプロセスが重なることで所得の二極化が生じています。

                                   M2 芦谷

 

グローバル・シティ 第9章 経済再編―階級と空間の2極化(前半) 

本章前半では8章まででサッセンが示した雇用と所得の二極化が社会にどう反映されているかに主題をおき、小さくみると違いはあるものの、大きくみると同じような流れを辿った3都市の共通点と固有の変化についてみていきます。

ここで雇用と所得の二極化が社会や空間に現れるとき、「断絶」(主導経済が成長し続けた結果、既存の空間編成が変わることや、大きな衰退から新しい土地利用ないし社会空間の形態が生じること)がみられるとサッセンはいいます。少し抽象度を下げると、「断絶」とは昔は平均以下の所得層や収益が低い企業が使っていたような地域で、瀟洒なオフィス・住居の複合施設の建設、巨大建設プロジェクトの進行などが起こり、低所得層・高所得層が混在しているような状態です。

 

まず、3都市の共通点についてです。3都市の共通点は3つのステップに分けられます。

  • 国家主導による空間の再編

→スラム一層計画やグリーンベルト・大ロンドン計画など政府主導による様々な計画によって空間が再編されていくと同時に郊外へ人口と産業が分散されました。

  • 人口減少・雇用消失による都心中心部の急激な衰退

→①によって富裕層や仕事が郊外へ流出し中心部が衰退しはじめ、影響を受けて人口が減少し地域サービス・商業基盤の解体につながりました。とくにニューヨークではそこへ移民が入り込み、1940年にはニューヨークの94%を占めていた白人は1985年には49%まで減少しました。

  • ジェントリフィケーションとインナーシティ問題

→国際金融市場が形成されると、衰退しはじめていた中心部に国際的な不動産市場と新しい成長産業の拡大を背景に大規模で豪華なオフィス群や共同住宅が建設されるようになりました。開発によって一見インナーシティでの貧困や建物・施設の極度な腐朽は解決されたように見えましたが、低所得者層が玉突き式に居住地域を移動しているにすぎず衰退がさらに集積することになりました。

 

次は各都市固有の変化についてです。

ニューヨーク(マンハッタン)では管理職・専門職やサービス労働者など第三次産業に従事する人が極端に多いことが特徴で、専門職内部を詳しくみてみると最も高い給与を得ている層は金融業などに代表される高度専門職(そのうち90%以上が白人で半数が45才以下)であり、それ以外の教育や医療などに従事する層(大部分が黒人や白人女性)の賃金はマンハッタンの平均を下回っていることをブリントの研究結果から示しました。そのうえで80年代にもともと高額だった人々の収入が上昇するとともに貧しい勤労者世帯の数が急増したことによって深刻さを増したエスニシティごとの住み分けは世帯収入に応じた空間の階層化の反映であるとし、ここに断絶をみてとることができます。

また80年代のホームレスの数の急増に関しても、もともと低所得者向けであった住宅がジェントリフィケーションによって、次々と高所得者向けへと転換されたことが関係しているとサッセンは述べています。

ロンドンは1986年の規制緩和を機に国際金融の中心として成長し、その成長に直接・間接的に関わる労働は増え、非熟練者サービスから専門性の高い職まで広い職域に影響を及ぼしましたが、全体的には高所得者低所得者が増える結果となりました。そのなかでも年間10万ポンド以上の収入を得ていた人は1985年には67人であったのに対し、規制緩和後の1987年には約2000人まで増えました。その中には業務規模の拡大と専門的スキルへの需要の拡大により、若くても高給職に就ける大卒者が多かったことがわかっています。

またロンドンの知識主導型ITという地理的な分布に注目してみると、ITセクターの集まっている地域(中心部と西部)とそうでない地域(北東部・東部)では空間に現れる社会的格差が強まる傾向にあり、ロンドン全体をみると全国平均を上回っているものの、都市内部には明らかな格差が存在していることがわかりました。

東京は90年代になるとグローバル化による成長と資本蓄積に陰りが出てきたが、東京に拠点を置いたり、移したりする経済活動のなかでも特定の種類だけが集積されてきました。また政府・都政が生活水準の向上よりも産業の成長を重視した政策を行ったために結果として労働者間の格差を縮めることとなりましたが、その後専門職層の拡大と同時にフルタイムで働く労働者に比べ低賃金かつ保障の薄いパート労働者の数も増え、次第に労働者間の格差は拡大していきました。ここでサッセンが注目していることは東京のインナーシティです。○○の研究から東京のインナーシティで起こっている衰退を分類(地域社会の衰退・地域経済の衰退・家屋などの物理的な衰退・社会的な不利益とマイノリティの関係)し、それらがいくつも重なった地域にはある特徴があると述べています。それはインナーシティで起こっている社会・経済・物理的な面での衰退とは商業中心地区で起こっているのではなく、商業中心地区に隣接し、一昔前には製造・商業の中心であった地区であるということです。

 

以上9章前半では雇用と所得の二極化が社会にどう反映されているかに主題をおき、3都市の共通点と固有の変化をみてきました。発表の際にはスライドや塗り絵などによって社会・経済・物理的な衰退が集積している様子をうまく伝えられたのではと思います。それでは9章後半に続きます。

                                   B4 武田

 

[第3,4,5節]  

本の中で、節それぞれの論点は次のように設定されています。

3.所得の二極化がどう「消費」に反映されているか

4.不安定就業労働市場とインフォーマル労働市場について

5.労働市場の的確な問題把握のための移民・エスニシティ・人種の現状考察

 

具体的には以下のような内容がなされています。

第3節

著者は、大都市では経済各差は消費の構造にはっきりと反映されるとしたうえで、低賃金労働は消費の領域で生じているといいます。都市の中で高所得層が増えると、ジェントリフィケーション(富裕化)が進み、それを受けて日常生活に新カルチャーが出現し、大量生産・大量販売ではない類の商品・サービスへの需要が生じます。そこで膨大な数の低賃金労働者が必要になるわけです。すなわち、高所得層向けのジェントリフィケーションは労働集約的であるといえます。このように、成長がもたらす経済の二極化が雇用のインフォーマル化と労働の不安定化を促進した背景にあるということを主張します。

 

第4節

サービス職の増加に伴って、雇用関係が不安定化していくなかで、アングラ経済の成長、移民コミュニティ、家族賃金という制度といったキーワードを挙げながら、その不安定化の生じ方は各都市によって違うとしながら、3都市それぞれで顕著だったことを見ていきます。

【ニューヨーク】

ニューヨークでは、正式な契約が結ばれないインフォーマル化された雇用の話がされています。「インフォーマル経済は移民がいたから発生したというよりは、ニューヨークのような大都市圏の構造にみられる傾向や変化から生じた」ということが言われます。

【ロンドン】

ロンドンでは、パートタイムのような不定期化された労働が挙げられています。パートタイムの大多数は女性であることに加え、ロンドンではパートタイム雇用の奨励がなされ、利用が正当化されている現状が述べられます。

【東京】

東京の場合には、日雇い労働者を保護するシステムが崩壊していることが、著者の体験談から語られます。

 

第5節

この節では、社会的・経済的変化の考察において人種と国籍は無視できないとして、移民について取り上げています。アメリカのような黒人やヒスパニック系が未だに低賃金な職に就いていることをあげ、低賃金労働を創り出しているのは、移民というよりは経済であることを訴えます。ロンドンでは黒人と一部のアジア系移民に比べて中国人が専門職についている割合が高く、移民の中でも偏りがあること。また、日本では1950,60年代の出稼ぎ労働者に変わって、非登録移民が労働力になっていることが言われます。

 

まとめとして、「経済の急速な国際化」と「雇用関係の不安定化の広がり」という2つの展開が交わった結果として、移民が生まれ、組み込まれていると位置づけます。

 

議論としては、

・労働集約型とは―資本集約型が大量生産を基本として成長するのに対して、労働集約型とは、人の手をかければかけるほど、発展していくタイプのことである。

・家族賃金という話から、人間を労働力と捉えると、労働力の再生産とは、一個人が休憩するということ、子供を産んで教育することであるということを確認しました。そして、いまは、下位の労働者に対して賃金を払わず、切ることによって、上位の人に高い給料を支払うようになっている。すなわち、労働力の再生産コストを払っていないという状態にあって、そこで柔軟性を高めるために移民が人身売買まがいのように雇われているということが起きている。地方都市には仕事がなく、そういったことはグローバル・シティの東京だからこそ起こるという話がされました。

                                  M1 今 進太郎

 

第10章 新しい都市のレジーム?

 

本章では、まとめの章として各部に流れをおっていきます。

 

本書で論じた変化より考察した問題は3つあります。

①ニューヨーク・ロンドン・東京の各国における位置づけや、世界経済での役割は一新されたか

②三都市の社会・経済構造はおおきく再編されたか

③グローバル・シティという新しいタイプの都市が果たして現れてきているのか

この3つの問題より、 三都市の役割がグローバルになったことから生じる都市間の階層への影響や主導経済が世界市場をターゲットにする場合、都市政治にはなにが起こるのだろうかという問いが生まれてきます。

 

第一部(2・3・4章)

 先進国の経済が製造業からセービス産業(第二次産業から第三次産業)へシフトしたことだけが、大都市の変化ではないことやグローバル金融市場の成長・サービス分野での国際貿易の拡大・海外直接投資(対外直接投資)の新しいパターンなど、世界経済の主な動向をとりあげ、分析しました。

 特に国際化の特徴としてあげられるのは、経済的な集積が進むなかで、工場やサービス販路、金融市場のネットワークがますますグローバル化していきました。

 

なかでも最も目立ったものは国際化した産業であり、取引が大幅に増えた金融業です。

 ー 1950、60s → 国境を越えるフローは生産に関わる産業への対外直接投資

 ー 1970s 後半 → 金融取引(e.g.金融の証券化)に追い抜かれる

 ー 1990s →対外直接投資のパターンが変化

 このような変化の過程から、経済での国際取引が増えると中心的な役割を担えたのは、アメリカ・イギリス・日本といった、ごく限られた国だけでした。

 グローバル化の進展に伴い、経済を支配する力が特定の都市にのみ集積されたため、グローバルなネットワークを管理し、支配する基本的な役割も大都市に任せられるという構図になりました。

 

 また、生産の国際化により、空間経済が新しくなることで、新しい空間経済の登場やサービス関連が成長しました。かなりの額にのぼる対外直接投資が特定の地域に集積し、大都市で国際的な不動産市場の形成したことにより、分散傾向に目を向けていたことが多かったグローバル化ではなく、集中化傾向が確認できました。

 

第二部(5・6・7章)

 第二部では2つのテーマを見ていきます。

①管理、支配が実際に担っているのはどのような仕事なのか

②大都市で生み出されている仕事は正確にどういったものなのか

この2点から、グローバルな支配はグローバルに広がる生産システムと労働力を組織化し、管理する実践を伴っています。

 分散している工場・オフィス・サービス販路の支配・管理が中央に集まっている状態は、放っておいて自然になった偶発的なものではありません。特定の場所に管理機能が集中しているのは、人為的に作り出され状態であるため、管理が一カ所に集中する過程では、多様な高度専門サービスを作り、管理・支配をトップレベルで行う機能を生み出すことが可能になります。

 

第二部で重要な論点となるのは、3つあります。

①国際化

金融・生産者サービス中心の産業複合体のなかでも、中心的な存在として伸びているのは、国際取引を手がける企業へのサービス提供に関連したセクターであること

②ニューヨーク・ロンドン・東京を際立たせるものとは

多くの産業でサービス関連職が増え、サービス関連職を必要とする労働が多くなった

③都市階層

三都市が多くの点で、トランスナショナルな一つの市場として機能し、それぞれ独自の役割と機能を果たすことで、単一の市場としてはたらく仕組みになることで、同じ利益を狙って競争しているわけではない

e.g.)1980s 

東京 → 資本輸出の一大拠点

ロンドン → 資本を処理する中心地

ニューヨーク → 資本が投下される都市のなかでも中心的な存在

このように、資本の輸出(東京)、処理(ロンドン)、投下(ニューヨーク)はトランスナショナルな市場では別の役割を持つことで一つの機能を果たしている結果になります。

・取引に関わる業務が膨大だと、複雑にもなる

→ 量と複雑さを克服するため、関係する企業は至近距離に位置する

 

第二部では、第一部を下敷きに、具体的に都市レベルに落とし込むことで各都市の特徴を見ていきました。集中と分散の形から、空間経済への影響をみていくことで、三都市の生産者サービスや金融取引が行われる鍵となる場として都市を取り上げ、分析しました。

 

 

第三部(8・9・10章)

最後に第三部のテーマとして、新しい産業複合体が、都市の経済構造や社会構造に与える影響についてあげられました。

 

産業複合体の影響として以下の点があげられます。

・大都市で二極化が進行することで、新しい成長セクターが大都市に集積し、収益性の低いサービスや低賃金労働に対する需要も生み出される。

・雇用関係の制度的枠組みの変化により、雇用の安定や医療補助などの間接賃金のシステム崩壊や、移民コミュニティの複雑化・拡大が起こる。

・産業複合体を支えるものは、個人より組織による消費である。所得格差が開くと、企業の競争力や世帯購買力でも差がついている。

 

第三部で扱った問題から、経済活動のグローバル化が地域に及ぼす影響ではよりミクロな視点で都市をみることで、社会地理や労働市場の変化を見ていきました。

グローバル・シティには、活発な経済セクターだけが集まっているわけではなく、所得格差がもっとも開くのも、グローバル・シティにおいてであると述べられるように、様々なものを内包している空間がグローバル・シティとなっています。

 

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まとめ

本書全体の考察で、グローバル経済は都市にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

・世界経済で指令を発する場

・金融と高度な企業サービスのイノベーションが生まれる場

・資本にとって重要な市場であり、様々な役割を担うことで特定の諸都市が協力する場

上記の都市の役割からは、

・諸都市の戦略的な役割として、金融と製造のグローバル化によって新しい形の集積が進む

・社会的再生産の場として、高所得層を支える一方で、この層に雇われる低所得労働者を確保することが求められる

・大都市とは、 経済成長を決める新しい産業複合体と、産業複合体を構成し、再生産している社会政治的な形である

とされています。

このように、「グローバル・シティは新しいタイプの都市である」ということをサッセンは最後に述べています。