2017/09/20 B4小論発表

涼しくなったところで秋学期の授業開始日です。

青井研恒例のB4小論発表です。

 

 

[櫻井]英国の精神とデザインの源泉

普段身に付けている服靴の身近なスケールから木や鉄などの材料、それを加工して一つの製品として売られる家も、日常に溢れているモノだと捉えられる。一方で、イギリスでは建築と自然の調和がよく見られる国である。モノに対してイギリス人の精神や思想を解き明かしていくことで、現代の安価で便利な見かけの豊かさを持った生活に対して、批判的な視点を獲得する。

 

・質疑

Q,モリスと山崎亮の関係性は?

A,分業について連想を繋げて

モリスはデザインした元を与えて職人が自由に汲み取って新たなる段階へ行く発想

山崎はモノをデザインすることはせず、ソフトのデザインを専門家がいなくなった時にシステムが回るようになるまで分業をしない

 

 

・コメント

この研究を通じて獲得できたポイントがどこかわからない

自分のこだわり・核を持って考えを限定して行動していかなければならない

連想ゲームしていたらダメだよ

 

[鈴木]空間の翻訳の方法について―名称についての考察から―

名称を付けることは人が空間を認識するときの表現方法であり、名称があることで人は空間のイメージを共有している。建築の設計行為は求められた条件を解釈し構築していくプロセスが、名称を付ける行為と親和性があるのではないか。

 

・コメント

建築の空間はあいまいだ、多義性がある。その時の「名」とは何か。

元来多義性を含んでいるものに、定義を決める行為になり得る。

すでに名がついているものに違和感を感じたらそこに新しい名が生まれる。この状態で名がつけられる前に戻る。つまり処女的なものは存在しない。

卒業設計に向けて、名のネットワークを変えることで空間の質が変わる。名前の体系を逆手に取るなどやりようがありそう。

 

[生沼]建築材料における劣化現象から建築を計画する

建物の変化は時間の過程を可視化させる。建物の変化が顕著に表れるのが劣化である。建築材料の劣化はいくつかの目に見えない微少な変化の組み合わせ・パターンによって起こっている。この組み合わせとパターンから生活する上での過程を可視化する方法とし、新しい建築の計画を考察する

 

・質疑

Q,劣化と計画(渋谷)がどうリンクするのか

A,東横百貨店を例に挙げると、地下に走っている川(劣化要因)、それによってどう作るかの意図(劣化現象)、実際建っている上物(劣化症状)と劣化とリンクするのでは

 

・コメント

劣化の面白いところは微弱な変化が積み重なって大きな作用を生み出すところであるから、それを計画に落とし込むことはこれからだね

 

[片山]鎌倉の都市構造

鎌倉は古都に指定されている。しかし「歴史的な街並みの集積がなく、様々な時代や様式の建物が混在し、景観づくりの方向性を共有しにくい」とされており、様々なイメージが存在する街だと解釈ができる。そこで鎌倉の形成過程をたどることで、現在の街がどうイメージづけされたのかを考える。

 

・コメント

古都保存法があるとか景観とか保存などの開発か保存かの中間地点に興味があるのはわかる。が、自然地形と人間が介入していくやり方をデザインするためにはとか片山自身が考えたことを明示していかなければならない。

規制のあり方を作るだけでいい景観ができるわけない。今の現状、景観を保存する=デザインを禁止すると捉えられていることがダメだ、などの眼を持って街を観察していく必要あり。

 

[相川]都市資源としての学校

象徴的にあらわされた管理社会の概念は、ビルディングタイプに応用可能であり、その中でも特に学校を取り上げる。現在の学校はただ単に閉じられた空間ではなく、学校自体が一つの都市の中で機能していることから、街や都市にどう接続していくかについて見つめ直すための視点を得る。

 

・質疑

Q,熱海の資源とは

A,市街地が平地に存在しているため、FSはそこに建てるといいと思うが、山間部に小中学校が存在している。現在それらは団地の衰退などから廃校になっているため、生かせないかと考えている。

 

・コメント

どのように制度を変えたって学校に行けなくなる人はいる。そのときに卒業設計としてどうするか。都市資源を活用する発想は良いが、FSがどう展開するかはよく考えること

 

[武田]佐原の酒蔵

歴史的な街並みが残っている千葉県香取市佐原地区は、1996年に重要伝統的建築物群保存地区に指定された。その中で生活地としての基盤を作るための酒蔵に注目してみると、生活基盤としてのネットワークが気づいたため、今回は酒蔵の配置計画から構法まで考察する。

 

・コメント

デザインは機能と形態が不一致したときに埋めるものとして存在する。またそのデザインの良し悪しは投げ込んでみないとわからない。今回の佐原では、50年後の未来を想定したときの機能と今ある形態を残しながらデザインする、などのように考えていくと卒業設計としてはいいのでは。

 

先生から4年生のみなさんにお願い

研究室の中で小論はアーカイブされるため以下を注意する。

文章が統一されていない、言葉の言い回し、文体を意識しながら書くことが大事。

抽象的なことを最初にしないで、コツコツ具体を文章に書くことでステップアップできる。

図説の引用をしっかり明記する。詐欺にならないように。

 

 

B4のみなさまお疲れさまでした。

卒業設計をぜひ楽しんでほしいと思います。

M1寺内