2017/6/15 D班ゼミ発表
サブゼミD班によるゼミ発表でした。
棚橋京平《「ノマド」について》
【発表】
・現代では「ノマド」は働き方のスタイルを指す言葉になっている。
・過去にも事例として伊東豊雄さん、黒川紀章さんの思想があった。黒川さんに共感。
・「シェア」の種類シェアリングシティ、シェアハウスについて。
・「ミニマリズム」について。
・遊牧民のゲルの生活空間について。
【質疑】
・山谷の日雇いや労働者とミニマリズムなどの人たちの違いは特定の場所を持たない自由な生き方に関しては共通するところがあって、取捨選択できる人とできない人という格差については理解しておくべきではないか。
・それについては理解していてとりあえず繋げてみた。違いがある、お金の余裕の差についてはわかっているけど彼らの生活が近づいているのではないかという疑問がある。
・実際の土地にいって見聞を広げるべきでは。
・機能が別に移動していることはないのか。
・山谷に対して何かをしたいのか。
・ノマドワーカーに対して何かをしたいのか。
・暮らし方について調べて山谷とつながることがあるかも。
・何に興味があるのか。
・銭湯、漫画、多機能的なところ、娯楽の楽しみ、家の外でやるのが何か意味を持つのか。そして行動を限定せずに生活の範囲に広げることに関心があるかもしれない。割とはっきりしていない様子。
・日雇い労働者にも1日のルーティーンはあるはずで、山谷にも個人の領域があるだろうし、やはり場所に行くべき。
・ノマドやミニマリストのライフスタイルに憧れているのか、どこに欲望があるのか。
・最近ジムに通っていて目的はお風呂。それが楽しい。
・移動にするのが楽しいのか、旅館での生活の体験が面白いと感じる人もいる。
・知らない土地か自分の生活空間の範囲内での生活か。
・情緒安定機構に共感する、一人では生活できない寂しさの補完、どこかで触れ合える場所がある、生活の一部において他人と関わるのがいいのか。
・調べる過程で面白いものはあったか。
・近代の住宅の理想像と逆行している。包含している機能は江戸時代のほうが多い。農家は生産の機能も持っているし、これを追い出したのが近代で家と仕事場を分離した。
・何が住宅なのか、どう分離していった有様が変化していったという認識が必要。つまり前近代と近代という見方は一面的で見方として違う。
・産業と社会の変容に空間がついて行っていない背景には産業の変化が早すぎたことがある。
・魅力的な空間を考えるのは建築家であって、シェアというテーマを考えるのはふつうというか建築家以外でよい。社会構造的に出てきて当たり前。
・卒業設計においてもどういう空間で実現するのかをみたいということを忘れてはいけない。
・ライフスタイル、人々の繋がりに興味があるなら社会学の論文、本を見るほうがいいのかも
・伊東豊雄のパオに関して。いろんなアウトソーシングがあるなら、家は寝るテントでいいじゃないか。建築が服みたいな建築になりたい、身体の周りの環境が柔らかいほうが外に触れ合いができる可能性を探った時代。建築が形式化しているので身体にとってふわぁとしたものにしたかった。住宅が軽やかになるのではないかという問いであったことへの理解は必要。
武田峻哉 《他の地域に視野を広げ都市、産業の本質、着眼点を見つけたい》
【発表】
・川越、伝建地区の表と裏、論文を通して佐原への視座へとならないか。
・中山道、中津川宿での景観まちづくりについて、入り組んだ水路が面白い。
・水と都市・産業において佐原と中津川地区に共通していることがあり、水に関しての都市のシステムにも似通ったところがあるかも。
・暗渠化した水路ネットワークの復元、かなりの水路が見られる。
【質疑】
・中津川地区の水路を現代ではどう使っているのか。
・水力発電、井戸水、例えば水道水ではなく子供が井戸の水を使い手を洗うなど。遊びの場の近くで利用方法が有る。
・開渠の動きがあることが面白い
・川越と佐原の囲い方の違いについて
・開発の有無において、指定の範囲が狭かったりする。川越では高い建物があって景観に影響があるから広い範囲において規制した。
・環境についての範囲が伝建地区でちがう。つまり物質の保存はしているけど無形文化の保存をしているわけではない。建物の保存はしているけど、ソフトの保存はしない。
じゃあソフトの保存もしたほうがいいのか。それについてはどう思うか?
・社会が変わってきている、保存をし続けると現代に対応していけないのではないか。生活文化は積極的に保存したほうがいいのではないか。そう思う理由として産業として成り立つものもあるけど元々商業の街だから、経済の成り立ち方を見ると産業にこだわりはなくていいのではないか。あまりここに関しては理解できず。
・観光化しようという政策に対して住んでいる人がどういう生業で生きていく様子が変容しているのは確かで、実は街はがあまり活性化していないのではないか。若い人は都心にでて、高齢化がすすんで、住宅は空き家になり必要なくなったら潰れるという悪循環。しかも伝建登録したからお金は使うしかないし、悪い流れは続いていく。
・テナントとしての空間貸し出しはいいのか。あり。内部は自由、構造体は作りかえられない。でないとと群として成り立たない。ファサードは指定しないといけないので、RC構造の建築に木格子の柵がついてしまったりする。
・制度との関わりで確認申請を出すために、表は伝統的な面構えで裏はハウスメーカーで安くしていたり。
・固定する部分と柔軟な部分の変容にフォーカスを当てたのが滝沢さんの論文。
・どういう未来、佐原がどうなってほしいのおか地元への思想はあるか。
⒈すごい観光地化してほしいわけではない。住んでいる人がここで暮らせるだけの産業が充実、廃れない状態にしたい。佐原に適材適所な暮らし方をしてほしい。
⒉伝建地区ならもっと整えてほしい
・⒈の話と⒉の話が違う
・主題としては⒈
・保存は正しいのか、良い方向なのか。悪いことではないにしても、明確な根拠は揺るがないものではないからそこに批判の目を向ければいいのではない。
・なぜそこの時代の明治、大正、昭和のものが保存されているのか。実際のところ、はっきりしない。決めるのは国と、そこに住む人たち。
・伝建地区登録の緩和をしないと、それを指定する部署がなくなってしまう。問題や、解釈した上で批判していくのはありではないか。
・過去を継承するデザインを考えることが大事。
・建築家がやるのは空間、形を翻訳、デザインすることだから、社会情勢に主題をおくのは当たり前でそこに面白みの重点をおくのは違う。
今進太郎 《乱読、研究背景の設定、対象エリアの検討》
【発表】
・複数の本を読んだとこによる都市に対しての見解
・痕跡というのは過去と現在をつなぐものという点が面白い
・対象エリアの可能性としての三軒茶屋と自由が丘について、都市の変容
・歴史を調べてテーマになりそうなことについて。自由が丘に関しては都市基盤の成りたちを見て、計画の際に行われたことと今現在に与えた影響について。三茶の三角地帯の変遷が三茶の縮図に見えて、それを見れば三茶に関して一般化できるのではないか。
【質疑】
・土地の特性、地形について興味があるのか。ある。
・じゃあ三茶についてはもっと地形に対して着目するのではないのか。
・三茶への人口流入について。高地、宅地に適切であったため土地の値段が上がり、この場所の特性だと考えているので。地質が宅地に向いている、その要因もあるはずである。場所の持つ力なのではないか。
・場所に対して人が判断した結果とそこからの変化もあり、それが今の痕跡。だから痕跡を見ればいいのではないか。痕跡とは物理的なもの。
・痕跡はすべてポジティブな捉え方をしてもいいのか。変えていくべき、排除するべき痕跡はないのか
・もともとネガティブにとらえていた、ポジティブに転換、活き活きと捉えたい。
・ネガティブの意味とは。
・トマソンのようなものも邪魔ではないけど、建築の中では意味のないという意味でネガティブ。
・新しく何かをしようとしたときにそれを利用しきれていない、それは合理的ではない。
・再利用するまではいかないけど、残ってしまうことが面白いことと感じている。
・都市史研究をする上で何にフォーカスをあてているのか
・その場の固有性が現在まで引き継がれていること。
・自由が丘するにしても、三茶にしても真面目に過去の資料と現在と照らし合わせながらやるしかない。
・つまり普通の都市史研究と同じでいいのか。
・同じでよい。
・ここで発表している様子は人と違う視点から物をみたいのかと思われていたが、違った。
・研究のための街を探していた。
・痕跡論なのか三茶の研究になるのか。痕跡論といって掲げた論文より普通に研究した論文の方がよっぽど痕跡を追えているかも。
・都心なのか、郊外なのか。
・住みたい街ランキングを参考にしている。都会の魅力ってなんだ。どう成立してきているのか。何が人を惹きつけるのか。
・トマソンと痕跡の認識の違いについてもう一度考察したほうがいい。
・東京グリッド論はいかがか。均質な中の固有性をみようという話ならグリッドのところとなっていないところがある。実は過去のある部分を継承している。一見均質のなかに過去のものを見出せるのかも。ある程度薄くても東京の痕跡グリッドの一覧を見るだけでもいい。
芦谷龍征 《首都圏西部における私鉄沿線の商業空間の広がり発展》
【発表】
・現在物理距離で特徴付けされている地区を時間の尺度で再定義ができるのではないか。
・スギウラ時間地図について。
・既往研究に関して自分の考えが近いものについて。
・時間をファクターにするのは扱わないといけない範囲が広すぎて難しい気がする。
【質疑】
・時間軸が同心円状に広がっていく。急行が止まる駅が同心円状に広がっている。
・僻地というのは千歳船橋のようなことか。そうだ。交通アクセスが不便なところが駅の近くには住宅が広がっているところなのか。
・新しい用語を作らないといけないかも。相対時間僻地とか。
・各停しか止まらないところは商業があまり発展しないということはわかっていてそれを確認するだけになるだけ。
・時間尺度が都市にここまで関わっているのかということがあれば面白い。研究のフレームをだすしかない。新しい尺度をつくらないといけない。
・時間がきれいにでるようなものがでてこない。
・急行と各駅の違いに関して、地主の力が強いところでは各停、地域の活性化がなくコンビニが増える。住んでいる人は変わらないけど、お金がない。
・ポテンシャルが同じ地域だけど、勢力などによる違いがでてくる背景が面白いのではないか。
・大正期と現代でもそんなに変わらないのかもしれない。ひとつ手を進めてわかることがある。バス路線の整備が進められたのかもしれない。仮説的に作業することでわからないことがわかってくるはず。
中村彩《渡辺大志 『東京臨海論 港からみた都市構造史』(東京大学出版会、2017)》
【発表】
・なぜ渡辺さんがこの研究をしているのか。
・陸の論理が埠頭にも使われているのではないか。
・倉庫を扱うことで東京港の都市構造がわかるのではないか。
・埠頭が陸の論理だとすると、船が着くところは海の論理の場所。倉庫群はその中間にあるのではないか。業界のせめぎ合いが論理同士でも、論理のなかでもおきているので複雑な構造になっているのではないか。
・「インフラ」の概念が渡辺さんによって作られている。
・配置は置かれた後の事象、配布には結果ではなくプロセスの話も含まれるという点で違う意味を持っている。
【質疑】
・実際の倉庫群の空間、スケールはどのくらいなのか。どういう風に管理、使用者を分類していくのか。実感がわかないので具体的な数値が知りたい。
・せめぎ合いがあったことに関して、法律がある。コンテナの機能性や海外からの運搬からの流れをつくったのはその法律。渡辺さんの論文、本には数値が表になっていない、曖昧な部分が多くある。どのように関連があったのか、道路との関連性などは今後見ていく必要がある。
・コンテナ、クレーンの数や、船の数やサイズが図化されてきてくると面白い。
・海の深さの数値があるので、それを見れば船の入ってくるサイズも分かるかも。
・船舶論を知れば、また理解が深まる。
・本から読み取れる数値は整理することができる。
・渡辺さんのやつは70年代以降なのでコンテナ革命以降なのでそれ以前もわかれば考察が深まる。
・商港区は何をするところか。
・コンテナの積み下ろし、商品の積み下ろし。
・航路が定められていて、旅客船が止まるところも定められている。
・修景厚生港区は?特殊物資港区は?
・形状の意味はあるのか、端が揃っているのはなぜか。船の航路に沿っているのか。
・船の動線が形状に影響しているし、船のサイズ、用途などによっても変わってきている。
・コンテナ革命前後で違いがありそう。
・海の論理が内部まで侵入していてやはり陸の論理とひだ状になっている。
・批判的に継承して研究していくのは大事。
今回のゼミでは研究の進め方や方針の決め方、物事の見方に関しての話題も多かった気がしたので、赤字でその場所を示しました。研究を進めていく上で新たな知見が得られることも大切だけど、事象の見方に関しての間違った見方や偏見なども修正できるいい機会だと思いました。感じたこととしては青井先生や先輩方からの指摘を受ける時間を設けるためにも自分の発表する時間をどれだけ短縮しつつ、充実したものにするかも意識することができるのではないかということです。紙に書いてあることをただ読むのではなく、視覚と聴覚で相手に理解させることとしてほしい部分をわけることもできるのではないかと思いました。D班のみなさんお疲れ様でした。次週のサブゼミの発表も続いて大変ですが、また知の領域が広がることを楽しみにしています。
B4 櫻井