2017/5/18 D班ゼミ発表

こんばんは、夜分遅くに失礼致します。

そして今更ながらに一週間前のD班のゼミ発表をあげさせて頂きます、、、

つい最近まで完全に忘れてました、すみません。今回の発表者は3人です。

 

 

 

今進太郎『暗渠化の痕跡』

 
[発表]
溝渠…給排水のため水路で溝状のもの
明渠…蓋がされていない地上の水路
暗渠…地中に埋まっている河川や水路
 
暗渠については豪徳寺周辺と千住周辺を見ていく。豪徳寺周辺には烏山川という川が流れていて、その川は1974年から暗渠化し、緑道化し、その場所というのは地図上で確認すると区画が明らかに川の流れに沿っている(転写)ことが確認出来る。また千住にはTORでも不思議に思っていた円を描いたような道が地図上で確認できるのだが、それは以前流れていた古隅田川に沿っていたことがわかる。これは1970年代に暗渠化された。この二つを比べてみると、どちらも1970年代に暗渠化されていて、耕地整理がされ市街地化が進んだことが原因と考えられるのではないか。また豪徳寺を違う視点から見てみると、世田谷線が下高井戸から豪徳寺まで直線に結ばれているのではなく、何かを避けたように通っている。これは地形的要因によるものなのではないか。
 
[議論と私の感想]
暗渠の部分に沿って住宅などが建ち並ぶことから、暗渠は宅地の表となるのではないか。これはこの部分の開発が駅前より遅れたことが原因としてあげられるのではないか。駅からの距離感、つまり近いと裏になり、遠いと表になるということが関係してくるかもしれない。また痕跡というものから何を見ていくのかという根本の話としては、都市には痕跡というものが多く存在おり、別の機能に転用していることが多くの場合である。確かに古墳は山となり、大名屋敷の庭は公園となり、川は道路になるといったように転用が起きている。このように都市が出来ていく時には、このようなものたちはトラウマのように避けられるが、そのトラウマ自体はどんどん書き換えられていく。何となくこのように考えると面白いと感じた。今までこんちゃんが着目していた無用の痕跡から、価値が与えられた痕跡というものをどのように捉えているのかが気になる。
 
 
 
 
武田峻哉『佐原における都市と産業の変遷』
 
[発表]
佐原の歴史を大きな枠でいうと都市と産業に分けて捉えていく。都市のカテゴリーでは火事や蒸気船の存在、鉄道開通の大きな流れを掴むと共に、利根川の氾濫による市街地化という自然災害のこと、1580-幕末にかけて行われた六斎市といった地域コミュニティーまで見られた。産業は水運と生かした、舟運業、醸造業が見られる。今回は佐原という街はどのような要素で成り立っているのか、時代の流れの確認を行った。
 
[議論と私の感想]
水運を生かした物流の拠点であったが衰退してしまうと、古い街並みを生かし、観光地化を目指す。佐原は重要伝統的建造物保存地区に指定(1996)に指定されたわけだけれども、その保存ということにより観光地としての「表」と日常の生活である「裏」の部分がはっきりと分かれたのではないか。「裏」に追いやられたものには何があるのか。また佐原の特徴である醸造施設を一つみっちりと調べて見るのはどうかということ。どういう人たちが(代々継いでいるのか)、どういう繋がりで、どのように産業を行なっているのか。こういうリアルな部分は案外明らかにされていない。また舟運が栄えていた頃と衰退してしまった現在で、そのようなことは変わっていっただろう。人がどのように暮らし、働くのかというのは、実際に自分でその場に入ってみないと絶対に分かってこない部分だと思う。私も台湾調査を通し、ここに住む住民というのは、午前はどのくらいの空間で過ごし、午後になるとどこから友達がやってきて、またそこではどのような仕事をやっていてどのような風景を見ながら暮らしていたのかということを、身をもって感じた。それは意味があったと思うし、是非ともやってほしい、、笑
 
 
 
 
中村彩『東京湾内港の土地利用計画』
 
[発表]
東京湾でも内港(晴海、品川、豊洲、日の出埠頭)に着目し、その特徴として入り江状であることがあげられる。他の港は海岸線の形状に沿って形成されたが、内港は何かしらの摩擦、例えば政治や経済の関係があるのではないか。渡邊大志による『東京臨海論 港からみた都市構造』(2017 東京大学出版会)がある。この本は東京港にある貿易には欠かせない倉庫(コンテナ)というものに着目し、その配布によって生まれる普通とは違う空間について着目していく。これを参考にし運送業や産業といったものが関係してくる、例えば火力発電所や貨物鉄道線に着目していくのはどうか。全体としての目標としては、港湾空間の持つ水と陸の接続域から都市との関係性を見出していく。
 
[議論と私の感想]
普通にいくと埋め立て地は、陸からの延長であるから、陸で埋まっていってしまうけれど、舟が入っていかなければならないということがあるので連続にはならない。ここに陸の論理と海の論理の衝突が見られる。舟の航路を考えなければならないことで陸にも何かしらの影響が及ぼされるはず。また入り江状になっているところは水深が浅く、舟の大きさが他に比べると限度がある。舟の大きさに限度があるということは貿易できるものも制限されてきて、そうなると企業の種類も限定されてくるのだろうか。個人的には渡邊大志が行なった、倉庫によってできる空間というものがどういうものなのかが気になる。倉庫だけで、臨海部の特徴的な空間ができるのではなく、舟や埋め立て地ということとの関係など様々な要素が加わっていくのだろうけれど、一つの部分を見ることによって見えてくる全体はどのようなものなのだろうかと想像が膨らんだ。
 
 
 
 
M1保川