2017/4/20 B4頭出し
こんにちは。昨日、B4の頭出しがありました。
去年の今頃、先輩たちと先生に囲まれ、声を震わしながら発表をしたのを思い出します、、、以下発表内容となっています。
櫻井翔太
【テーマ】
①文学における空間
日本で最初の言文一致と言われている二葉亭四迷の『浮雲』を取り上げる。主人公と
許嫁が暮らす家の情景が多く、その二人を繋ぐものとして「階段」がある。この「階
段」という小さな空間から当時の暮らしを投影し、一つの縮図を読み取ることが出来
るのではないか。
②形状の類似から解く建築家の生き方
弥生時代における高床式倉庫とコルビジェのピロティは形状が類似しているのではな
いか。スイスにも高床式住居を見ることができた。スイス生まれであるコルビジェは
これを見ていたのかもしれない。建築家たちがどのような経験と知識で物事の真理を
求めたのか考えたい。
③イギリスにおける自然の捉え方
吉田健一の『英国に就いて』という本に、イギリスの田舎にある家がどのように自然
と一体化していくのか。なぜ初めてそれを見る者さえも調和していると感じるのか。
という記述がある。長い時間同じ場所にあり、そこに人間の暮らしが入ると建築は自
然へ還るのか。
④城壁の歴史
現在、トランプ大統領が考えているアメリカとメキシコの間に造る城壁の問題を建築
の歴史から読み解きたい。
多くの興味があるようだが、本人は③に一番の興味がある。
イギリスの庭にある適当に置かれた一つの石にしても、全体の調和したものの一つであるといったように、部分と全体の話になっていくのかな?個人的には言葉と建築は密接だというところから、言葉が建築に勝つことはないという視点は私の中で初めてだったので勉強になった。
図子雄助
【テーマ】
①ロシア・アヴァンギャルドの発生から終わりまでの把握
②ザハ・ハディドの造形原理、建築史の中での位置・役割を①を絡めて解読
元々興味があったという「服」を取り上げる。服は個人が世界と関わろうとする時の意志が表れるものであり、人間と地球という視座での世界観を間接的、相対化する膜と考える。この膜の役割は「建築」にも言えることであるが、「服」が人間(認知する側)寄りで「建築」は地球(認知される側)寄り。
一方ザハの建築における曲線やパースペクティブは空間を捉える手段であり、これは「服」と似ているのではないか。
建築は地球寄り、服は人間寄りという独特の言い回しの理解を共有した。服は対象化できるものであるが身につけた瞬間にはできないものへと変わる。しかし建築というのは対象化されなくなることはない。ここに大きな異なる点があるが、これを元にどのようにザハの建築空間を見ていくのかが気になる。
鈴木俊希
【テーマ】
①神話の物語性を建築に応用することはできるか
物語をシークエンス、動線、神々に名前をつける行為を建築の空間に機能を与えるこ
と、、といったように神話と建築の類似点を見つけていく。神話の物語形式というと
いうところにも着目。
②メタボリズムを再考することで、現代に新しい見解を提示できるか
メタボリズムに含まれる、「朽ちるもの」に対してのデザインに着目し、現代の建築
に対して新たな視点を見出したい。
①についての話にしかならなかったが、まず神話の構造を理解するところから始まりそう。神話の構造は現代の小説にも繋がるところはあるのか。私は神話に詳しくないからわからないけれど、物語性が強そうなイメージがあるのでそれをどう建築に繋げられるのか、繋げられなくても何故繋げられなかったのかが自分なりの答えが出たら良いと思う。
棚橋京平
【テーマ】
山谷地区における2020年東京五輪に向けてとその後
元々、日雇い労働者のために作られた簡易宿泊所があるが、2002年日韓ワールドカップ以降、外国人観光客が多く訪れる場所となる。一方、そこは環境が悪く、ホームレスが多く見られる場所でもある。暗いイメージがついてしまってる場所だが、もっと良い風景があるのではないか。2020年の東京五輪で影響が及ぼされるであろうと考え、その変化とその後の展望を考えていく。
本人は、ドヤ街のような街並みが日本にあるということに一番興味があるように思えた。しかしドヤ街のような街並みは不規則で暗く魅力的なものであるが 、それは手がつけられないことによるものである。本人がドヤ街をどのように受け入れていくのかを一番に考えるべきだと思った。
武田峻哉
【テーマ】
川沿い立地型舟運都市の歴史的変遷からみる都市構造の変容
これまで、集落的なスケールの街、地方都市、東京都その郊外の3つの生活の場を経験してきた。これらから、集積化、拡大化を続ける超都市と地域資源を守り活用しいくローカルな都市の二つの都市に興味を持ち、その中でも江戸時代に舟運都市として栄えたものに着目する。
一つの舟運都市に着目してリアリティを出していくという考えが出た。そのためには表層的なものだけでなく、川がない都市での暮らしと何が違うのかといった全体を書き換えるものの追求が必要。ここで生きる人間にとって川はどのような存在だったかなど、生々しいものになるのかな?
片山美樹
【テーマ】
①子供を取り巻く環境の変化からみる建築空間の移り変わり
昔は体を使う遊びのような、人と人が直接触れ合うものが主流であったが、現在は
ゲーム機を使うなど間接的な遊びに変化している。公園の減少傾向や超安全志向な
どの傾向から、子供を取り巻く環境の変化や空間について考える。
②「新鎌倉」と呼ばれたかもしれない街
大船は1921年から中産階級向けの田園都市構想が計画され新鎌倉と言われるはずだっ
たが、開発元が倒産してしまい計画は頓挫。また1935年には松竹撮影所ができ、映画
都市を目指すが閉鎖。これらのように様々な計画が中途半端に終わり、継ぎ接ぎ状態
となっている。時代の移り変わりで、残ったもの生まれてくるものについて考える。
②については継ぎ接ぎという言葉に着目。街の中に残ってしまったそういう異質なものを自分が何故興味を持つのかを追求するべき。それは都市の中ではどのような存在であるのか。②は調査は大変そうだが、時代における子供の秘密基地の調査とか面白いのではないかなと思っていた。どこに作るかといった場所性とかどのように作るか、そこは何をするためのものなのかといった時代性を見ていくのは何かに繋がりそう、、、
生沼千里
【テーマ】
①街を取り巻くセメント工場
自分が住む街、日高市になぜセメント工場が存在するのか。セメント工場がこの場所
に建つ先行条件があるのか。
②渡来系移民と市の繋がりから地域の発展へ
かつて高麗郡があった場所には、渡来系移民が移住したり、歴史的建造物が残ってい
る。その場所は自分が現在、住む場所であるので歴史を知りたいと思った。
①と②は関連してくると考えていて、というのも日高駅?を境に①に見られるような工場などの産業としての街、②のような歴史的建造物が点在する街にはっきりと分かれている。この変わっていくもの、変わらないものに興味がある。
本人は上記のテーマよりも、時間の変化に興味があるみたい。笑
壁のシミに着目して、そのある意味時間の積層であるシミを見ることで地形を分析する話は面白かった。壁のシミは0から10に増えていく時間の積層だけれど、10から0になる時間の積層もあると思うので、そういう普段気にしない何気ないものに着目することも楽しそう。
相川敬介
【テーマ】
①建築の在り方 設備という視点からとらえて
②建築の在り方 社会という視点からとらえて
自分が20年以上暮らす家は形を変えないのに、その中にある物や行動は変化している状況に違和感がある。これは資本主義の介入によるものなのか。
無意識だと思っていた行動が、実は論理的に組み上げられた中にあるのではないか。人が論理に基づいてない時にどういう空間を作り出すのか。個人や全体を支配している枠組みについて考え直したい。
人が無意識にしてしまう行動が作り出す空間とか、変化するものと変化しないものの境界とか、目に見えないものに興味があるのかな、と思った。抽象的なことを具体化することは難しいと思うけれど(私もそうだから気持ちはすごいわかる、、笑)、そうしないとどうしても人に伝わらないから頑張ってほしいです。机に向き合うことをやめて、外に出たり普段通りの生活をすることをお勧めします。その中で、ちょっと意識していれば見えてくるものがあるはずです!
今年は8人のB4がいますが、みんなの興味がそれぞれバラバラで面白かったです。ただ「建築学科だから建築のことやらなきゃ」という考えがあるのか、無理にそこまでいきなり飛んで行っている人が多かった印象がありました。
私の意見ですが、B4の小論は本当に自分が興味あること、面白がれることをやった方がいいと思います。いきなり都市とか建築とか大きな問題に取り組むのではなく、日常で感じた不思議なこと、面白いと感じた現象、幼い頃からどうしても好きなこと、とかそういった小さいところから出発して、ではなぜそれが不思議なのか、面白いと感じた現象は他に面白いと自分が感じているものと共通点があるか、、、と自分と向き合うことをした方がいいのかなあと思いました。一見、建築や都市とは関係のないことをやっていると思っても、後々プロジェクトや卒業設計をやった時に結局根本の興味は共通していたりするものです。
私が青井研で良かったな、と思える一つの理由として、このように好きなことをとことんやれて自分と向き合えて、それを聞いてもらえる場があることだと思っています。
最初は難しいと思いますが、B4の皆さんにはこの1年間楽しんでほしいです。
(これは私の意見なので、参考程度で聞き流してください、、)
M1 保川