サブゼミA班3回目

更新が遅くなりましたが、サブゼミA班3回目の様子についてです。

 

A班のこれまで2回の発表では、V. スカーリーの書籍を取り上げ、建築の形がどう変形されていくかという視点から建築史を組み立てる方法を見てきました。

3回目では上記のようなスカーリーの手法を用いて、日本の近・現代住宅建築を形態の変化から見るということに挑戦しました。

 

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(時代順に建築写真と図面を並べ、何が議論できそうか話し合う)

 

発表では、50年代〜80年代で10年ごとに分けて議論を進めました。各年代ごとにいままでとは違う視点で流れを見ていくことができたと思います。以下資料の一部と簡単に議論の内容をまとめます。

<50年代(※30・40年代も含)

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「前川邸」「森博士の家」などモダンリビングの形式から、ミース的な均質空間「住居(丹下健三)」「コアのあるH氏のすまい」へと変化し、「スカイハウス」「から傘の家」では正方形平面で形式性、中心性のある強い空間を提示していく流れが読み取ることができるのではないか。

 

<60年代>

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前回アメリカのニューシングルスタイルの建築家として取り上げた、チャールズ・ムーア「シーランチ」のようなピクチャレスクな建築を、日本の狭い敷地で実現しようとしたという意味で、東孝光「塔の家」は縦に展開し、原広司「伊藤邸」では横に展開し折り曲げて変形したと捉えられるのではないか。

 <70年代>

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ここでは、キューブやコルゲートシートを用いて自立的な形をつくり、建築にまとわりついたあらゆる伝統を断ち切ろうとする建築家の葛藤が見られる。また共通して階段によるアプローチを持ち、外界から内部へと人が入っていくイメージがある。

f:id:aoi-lab:20150806123940j:plainかなり建築の形が持つ意味が多様化し、「ドーモセラカント」には物語性や地域性が見られ、「住吉の長屋」「中野本町の家」ではユーザーが空間をどう経験するかということが考えられている。外在的な根拠に基づいて形態を決めている印象がある。

 

7/17のプチゼミ旅行では「戦後日本住宅伝説」展を見に行き、模型や動画を見ることで改めて議論の復習ができました。( 3回目の発表は7/8でした)

サブゼミで建築史を扱うのは初めてで不安がありましたが、m2最後のサブゼミで建築に関する議論がたくさんできて本も読めて、個人的にはとても楽しく勉強になりました。

 

m2吉永