7.4 B班ゼミ発表

7月4日はB班の3回目の発表でした。

 

 

 

石井「天井がどのように発生したか、その発生について。』

 

薬師寺本堂(747):天井と屋根が一致

法隆寺大講堂(990):天井と屋根が分離

浄土寺浄土堂(1192):構造を表す、天井を貼らないことが意味をもつ(大仏様)

円覚寺舎利殿(15c):天井の意匠が意味をもつ(禅宗様)

長寿寺本堂(鎌倉初期):天井と屋根が完全に分離

 

西洋建築と日本建築

西洋:平面計画と天井が一致し、屋根が独立

日本:平面計画、天井、屋根がそれぞれ独立可能

 

平面計画との関係

柱梁、天井、屋根がそれぞれ独立することで、平面計画が自由になった(桂離宮

 

天井の意義

室空間の上限を構成する面→内部空間を決定する装置

 

今後

・平天井の空間に絞る

・複数の建物を対象にする

桂離宮のような複数の空間から構成されている建築を一つ絞り、それを対象に天井高 × ◯◯による空間はどう決定されているかを見ていく

 

コメント

・日本建築に限定するかどうか、平天井に絞るかどうかは検討したほうがいいのではないか。

・信仰などとの屋根形状の関係も深いはずなので、それらも視野にいれては

・茶室を断面的に徹底的に分析してみるのも手ではないか。

・現代建築の住宅作品において天井は消えつつある理由を考えるとよいのでは。

 

 

石原「モノとふるまいの関係」

聖墳墓教会に存在するモノにフォーカスし、ふるまいを分析した。キリストが処刑されたと同時に地震がおき、イエスの血が入ったとされる岩が現存し、いまでも手を触れる事が出来ることや、門の開場を担当する一族が存在し、小窓や梯子などのモノを利用する手順がある事を調べた。そういったモノと人の関係を設計に落とし込んでいくことを考えた。聖墳墓教会におけるゴルゴダの丘やキリストの丘は共通の場所であるが、共通意識の表象でもある。自身の設計において考えると、文化的共同体や地域コミュニティーのような要素は、ウエイトがかからないという問題をあげられた。

 

・諸条件や矛盾の部分をデザインすることも卒業設計のフォーマットと考えられるため、そこを考えていくのはどうか。→文化的共同体のようなものを含めた設計にしたい。

→得意な状態を設定したほうがいいのではないか。モノ(映画、小説、事件などの特異な状態、赤・黄・緑を含めた何らかの状態)まで関わったものを設定したらどうか。

 

高木「自由学園の設計でライトや羽仁もと子らの教育理念を受け継いだ設計者として、今回は遠藤新を取り上げてみる」

 

遠藤新(1889-1951)

ライトの弟子。帝国ホテルや自由学園キャンパスの建築群の設計に関わる。

主に住宅、ホテル、教会など

(既往研究:鈴木久子による一連の研究がある)

 

今後

自由学園の設計された年の他の建築と比較する。

・遠藤新による邸宅などの他の建築を調べる。

・和洋折衷について

・社会的にどう評価されたか

 

コメント

自由学園の思想がどう建築に反映されているか?キャンパスプランニングに影響は?

・結論としてどういう視点を見出したいか?仮説を立てる必要がある。

・ライト→遠藤新の系譜からキャンパス計画を見るという方向性はあるのでは。

・幼稚園をフィールドワークして教育理念と空間の関係を見ていく。

 

 

 

滝口「天台宗を中心とする古代仏教史と山岳宗教の展開」

発表内容:天台宗を軸にみた古代仏教史の展開と、それに伴う寺院境内の変遷と山岳宗教の形成について

  1. 古代仏教史における二つの系譜

密教浄土教は対称的関係にあり、相互に関係しながら、政治・思想・美術の多方面に大きな影響を及ぼした。

  1. 比叡山延暦寺の古代史

 最澄天台宗は法華信仰を基礎にし、密教、念仏なども併修する総合的なもの

  1. 平安時代の寺院境内

 密教寺院は9世紀以降、平野部と山間部の両方が多数創建されたが、都市型寺院の多くは従来の官寺の配置形式を継承しており、固有の特徴はあまり見られない。

  1. 古代末期における山岳宗教

 ほとんどの場合に、阿弥陀如来と観世音菩薩を含んでいることが分かるため、山岳信仰への浄土信仰の普及が考えられる。

・どう論文にしていくか、来年9月までに完成を目指す。

 

大野「台湾「ひまわり運動」における実践と空間について」

 

ひまわり運動

台中間の市場開放を狙った「海峡両岸サービス貿易協定」が秘密裏に交渉されたことにたいする講義運動として、学生市民らが立法院を占拠した。

 

モノをつかった実践

・顔写真入りの名簿:全議員の顔写真入り名簿が張り出され、ネット中継を通じて支持表明者を明確化

バリケード:議員席の椅子や段ボールを高く積み上げて固定

・報民:新聞、20000部配布、PDFで配布。

・黒色のTシャツ

・都市模型:立法院を中心に段ボール模型を作成し、状況に合わせて模型を修正

・路上に座り込む人々:ペットボトルと日傘を用意。ホワイトボードや掲示板、スクリーンとプロジェクター、ネット環境も整備。

・診療部:医学生や看護師が24時間常駐。ビタミン剤やドリンク剤も用意され、徹底した健康管理。

・翻訳部:10ヶ国語対応。日本語訳も3名いて取材を受けた。支援の輪が国境を超えた要因。

・非常通路

・教室:デモ期間に学校へ通えない学生に対して教室が開かれた(協定が通るとどういう問題が発生するかなど)

・交通標識:空間占拠による交通上の変化を標識をハッキングすることで対応

・物資組

・安全への取り組み:政府関係の建物に巡らされた鉄条網に段ボールを立てかけて読書など

 

 

・台湾はナショナリズムを獲得していく段階であり、背景には中国と台湾の複雑な関係がある

・空間氏とはなにか? →デモにおいて人がどのように空間を使っていくかの歴史

・国会を占拠することは国家権力との対立という切実な問題にどう空間が関わったのかという視点

・香港との比較(組織的・戦略的にメディアや弁護士を巻き込んだ)

 

 

山下「開拓政策の調査」

〈開拓政策の展開〉

  • 北海道の自然条件が本州と比較して厳しかったことなどから開拓は進まなかったが、産業の飛躍的発展から本格的に力がそそがれるようになった。
  • 北海道の移住者が失業した士族から農民へと移り変わることなどから、人口増加と開墾地の増加が起きた。
  • 満州・韓国・樺太の経営重視などによる予算の削減から移住者の生活が圧迫された。
  • 北海道を故郷とする道民が形成され、植民地にすぎなかった北海道は自治を強めた。府県と同一の自治制度に代わり、農業開発から工業開発が促進されていったため、従来の伝統的な開拓政策が終わりを告げた。

〈琴似兵村〉

 現場との調整が十分にできないまま計画が進行したことや、極端に狭い区画や細切れの土地給与の仕組みから北海道開拓の実状の合わなかったことから、失敗と酷評された。

・モチベーションはなにか。→北海道を対象に調べているうちに、北海道内における屯田兵開拓以外が見つかり、いまはそれを調べ進めている。または故郷への興味。

 

担当:和田・伊沢