5.16 D班ゼミ発表

5月16日のゼミはD班2回目の発表でした。

順番:李→小林→三須→𠮷田→相川

 

B4 李「東京における秩序の変遷」

江戸の町並みを形成しているのは微地形と家相学という秩序があり、一方で近代化によって場所は等価なものとして扱われ自由なプランニングが行われるようになる。それにより手に入れた多様な「世界観」は個々のもつ小さな秩序が‘公’によってまとめあげられることで少しずつ影響する関係性により生成されているのではないか。

 

・秩序が生み出す場所か、小さな秩序そのものに興味があるのかどちらなのか。

 →小さな秩序そのものに、焦点を当ててその間のの面白さを深めたい。管理された区域に囲まれた関わりのない秩序同士が影響しあうことで全体性を生んでいるのではないかと思う。

・レベルを限定した方が考えやすいのでは。つまり、個と個に対する秩序、町割りの間の関係なのか、町家同士の関係なのか、関心で定めてしまうことで考えやすくなる。

・町歩き、撮影、分析といったフィールドワークをするのがいいのではないか。

・参照、江戸時代の商家の町家の間にも秩序が存在する。慣例法(平入り、妻入りによって水路の位置が決まり、平入りの場合、町家の隣地境界線が水路によって決まる)など、(雨のような)即物的な理由で成り立つ秩序がたくさんある。現代では、民法で成立させている。

秩序を成立させている要因は何なのかを自覚的に分析しなければいけない。

 

B4小林「江戸の長屋と現代のシェアハウスの比較」

暮らしに対する価値観が多様化していく現代において、空間のシェアがうまくいくための条件をビジネスと暮らしという点で歴史から学び、今に繋げたい

賃貸住宅的システムは江戸時代に始まる。土地制度により武家地、町人地、寺社地などにわかれており、それぞれ異なるシステムで存在していた。町人地は、なし崩し的に、売却が可能になり、武士、町人、農民が入り乱れる土地取引が展開され、独特な長屋形式をもっていた。

 

・江戸時代の賃貸システムと現代を比較するのは江戸時代が最古のものだからなのか江戸時代のシステムに興味を持ったからなのか、江戸時代と現代の二項対立ではなく通史的に見る見方もあるのではないか

→通史でみるとあまりに広すぎるから賃貸システムの起源である江戸に絞った。また住環境の中でも比較しやすそうという点でシェアハウスにした

・なんで賃貸なのか、賃貸のシステム

→ビジネス的側面に関心がある。一軒家市場の縮小、賃貸がこれからビジネス的にも拡大していく

低所得者が賃貸、狭いので近隣住民との共有のものが溢れる→戦前まで拡大してきた

戦後復興で持ち家政策(ローンを組ませると会社が援助)などの消費を促す政策、国のモデルとなった標準世帯核家族、経済の成長期にはあらゆるものの私有化が進む。その後バブル崩壊→シェアの推奨という流れがある。賃貸とシェアという観点からの研究はよさそう

・江戸時代は階層によって暮らしの仕方がたくさんあったが具体的に興味があるものは?

武家屋敷や商業集団ですむなどがあった、ということしか調べられていないからまだなんとも言えない

・江戸の土地、社会、などに関する本は沢山あるからそれらを当たっていく。賃貸に関わる基礎知識をつけていくべき

・対象をもう少し絞るべし

・例えば江戸の賃貸空間を地図上で塗るなどの量的作業は卒論では必要

 

M1三須「戦後盛り場の変遷—新宿から渋谷へ」

新宿的なるもの(強力な消化能力、先取り性、変幻自在、共同性の交感)と、渋谷的なるもの(ブラつくこと、グループでの移動、様々な「現代的」な役柄を見る、見られる場である。)が成立した昭和初期からの社会背景のリサーチ。今後は、人々が都市を経験する際の媒介となるメディアの関係を探ることをしていく。(1920年代ごろの博覧会や、高度経済成長期の西武資本の動きなどを追う)

 

・地形的な特性と人のふるまいが社会形成に起因していて、メディアがそれを汲み取って発展させたのではないか。

・メディアによって都市形態が変わった事例、気になる事例を見つけた方がやりやすかったりするので、見つけた方が良い。

新宿二丁目売春防止法によって空き家街化した都市に売春ではないゲイバーが入り込んだという事例がある。これもメディアによる都市の変容として捉えることができる。

・メディアと都市でどの辺で面白がっているのかがわからない。メディアが関わらない時代などない。メディアというものが都市に対して大きな作用を及ぼした事例の収集をしていく。

 

M1ひかる 「歴史主義建築とバロックについて」

歴史主義建築は歴史的に過去の建築様式を模倣する立場のことを指し、その背景には様式という概念が誕生し、様式の相対化がある。この時一つの建築に様々な歴史上の様式を取り入れる折衷主義とは異なり、用途に合わせて様々な様式を用いるという状況が見られた。この用途と様式の結び付きは様式が見る人に与える視覚的印象が関係しているとし、特に威信を示す様式として教会と国家の両方に利用されたバロックについて具体的にバロックのどの部分がそう捉えられたのか追っていきたい。

 

・日本人による様式の選択について詳しく説明してほしい

→第一世代(辰野金吾世代)は近代化を進めるために西洋建築を取り入れて、第二世代(伊東忠太世代)は自分たちはどういう様式を作っていけるかということを考えるようになった(模倣だけではダメだという意識が芽生えた)=ナショナルアイデンティの表現の模索が起きた。

イデオロギーの伝達としての建築とあるが、イデオロギーの伝達という現象への興味なのか、様式や形態への興味なのか

→権威がある建物が好き、それが形態においてどう現れているかに興味がある

設計者が意図したことがある形態に表現されて自分たちがそれを感じ取るそれはなぜかに興味があるから両方に興味があるといえる

・詳細な建築分析がいいのでは、流れで見ていくのは難しそう

・現代は形態が何かを表象しているということは語られにくいが、建築には表象論的側面は必ずある

→形態と内容の結びつきにどんな仕組みが働いているのかが知りたい

・18世紀〜19世紀では新しいビルディングタイプ(駅など)が誕生した時、どういう形態にするかという問題が発生しこれが様式の錯乱を引き起こしたのではないか

こういった変動の局面にフォーカスすればよいのでは

 

M2相川「有機体のアナロジー、動きの描写、成長と変化、50年代の相互関係」

CIAM的な機能的なゾーニング、それらをつなぐ交通網というドローイングの仕方があった。

TEAM10以降は目に見えないものを表す手法があったはず。ビジュアライズすることに意味があった。そこに力点を置いて研究を進めていく。

 

・分析の方法を様々変えていくといい。(形態だけに着目してみる)意識的に分け方を考えると気付くことがあるかもしれない。

・言説とセットで見ていく。+自分で記述していく。

・曖昧なまま提示してるのではなく、自分なりの観点で分析をして議論に持ち込むと議論が発展する。

 

担当 M1棟方・B4石原