B班サブゼミ 1回目発表

5/23(水)サブゼミB班の1回目の発表内容についての報告です。
課題図書:マリオ・リヴィオ黄金比はすべてを美しくするのか?最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語』(斉藤隆央訳、早川書房、2005)
発表者は、滝口、杉本、武田、上原、木山です。
文章は1章から4章からなる前半部分をB4の木山と上原が担当します。

 


〇1章+2章前半

1章では、具体例を挙げて数や数学の面白さに触れながら、これから本書の軸となる黄金比の歴史を軽く紹介している。そして最後には本書で検証していく疑問をまとめている。


ここで軽く触れられている不思議な傾向の内容は本書が進むにつれて種明かしされていきます。それを踏まえて疑問点をまとめると以下のようになります。
① φが自然界や人工物に出現することは事実なのか?誤解やいかれた解釈はないか?φが現れることは説明可能か?
② 数学には美的な要素があるのか?
③ 何が数学にこれほどの威力と普遍性を与えているのか?数学は人類と独立(=自律)して存在するのか?「神は数学者なのか?」

2章前半では、数の認識を具体的な例を挙げ歴史と共に追っていくという内容である。

PHASE1 数という抽象概念が確立していない
3以上はたくさんという認識
PHASE2 抽象概念を文字に当てはめる
PHASE3 位取りの概念を取り入れる

 

〇2章後半

2章後半では、数学の発展に貢献し、数学を秩序の概念に応用したピタゴラスピタゴラス学派による数への意味付けや黄金比と強い関係のある五芒星形、無理数(通訳不可能)についてまとめられている。

ピタゴラスの定理
・音程…ピタゴラス学派は音程が振動する弦の相対的な長さに対応する事実を明らかにした
     「音楽のハーモニーが数で表せるのなら、全宇宙も数で表せるのではないか」と考えた
・数の性質
1は生成源/2は女性の数、分裂/3は男性の数、調和/4は秩序/5は愛と結婚、ピタゴラス学派の象徴/6は完全数
・正五角形と五芒星形から通約不可能と無理数を発見

 

〇3章

3章では、五芒星形や五角形がこうした初期文明によってなんらかの象徴・神秘的な意味を持っていたのは確かだが、そのような図形の性質や特に黄金比を建設などに利用していたかどうかを検証している。

バビロニア人…確実に黄金比を知っていたという数学的証拠はいっさい存在しない
          石碑に対して黄金比が使われていると述べる文献があることに対しての問題点
① 数トリック(都合よく近い比をつくっている)②測定の誤差
・エジプトの遺構にφが見つかるとする主張に対しての批判
・ピラミッドに関しても黄金比とその性質を発見していた可能性は非常に低い
ジョン・テイラーによってヘロドトスの記述が曲解によるのでは、、)

 

〇4章前半

4章前半では、ピタゴラス学派から影響を受けているプラトンはより宇宙そのものの美しさと、それを説明する理論の美しさを追求しており、それによりたどり着いたプラトン立体が黄金分割と深くかかわっているということに焦点をあててまとめられている。

 

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〇4章後半

4章後半では、黄金比の数学的な定義を発見したユークリッドを紹介し、その後黄金比についてのたくさんの驚きについてまとめられている。

・原論…幾何学と数論を扱った13巻からなる数学史上最も有名な本
     各所に黄金比(外中比)を利用した計算など現れる
・外中比の発見!(AB:AC=AC:CB=φ:1)
黄金比の正確な値が分かり、無理数であるとはっきり分かる
φ=1.6180339887…
・たくさんの驚き
φ²=φ+1/連分数/黄金長方形 etc…
・その後、西欧での知的好奇心が失われ、インドやアラブ世界へ譲り渡される
→10進法や0の概念へ

 

 

後半5章以降は、黄金比と深く関係のあるフィボナッチ数列についての内容から始まり、普遍的な自然現象や、文化・芸術に現れる黄金比について検討していく内容となっています。