A班サブゼミ2回目発表報告
B4の大野です。
更新がかなり遅れてしまい大変申し訳ありません。
サブゼミA班の第2回目の発表内容についての報告です。
課題図書:ネルソン・グッドマン『芸術の言語』(戸澤義夫・松永伸司訳,慶応義塾大学出版会,2017/Nelson Goodman,LANGUAGES OF ART,Hackett Publishing,1976)
発表者は、相川、大野、河野、今、馬です。
■第4章 記譜法の理論
グッドマンの『芸術の言語』における目下の課題として「記号システムを理解し芸術を読み解くこと」が重要な位置づけの一つになっています。
本章では記譜法とは何か?定義とは?について考えます。
記譜法とは記号システムにおける記譜的システムまたは記号システムのことであり、芸術や科学生活一般において使われる様々な記号システムを扱う上で手段として用いられます。
かなり全体の中で分かりにくかった記譜的であるための5つの要件として
1.統語論的に互いに素
2.統語論的に有限差別化されている
3.非多義的である
4.意味論的に互いに素
5.意味論的に有限差別化されている
この5つの条件の具体例を提示しながら本書に沿って議論しました。
また後半では
稠密について、デジタルとアナログについて、図表や地図モデルについて、5つの条件のうちどの項目が当てはまっていくのかを丁寧に検証していきました。
■第5章 譜、スケッチ、書
この章では諸芸術をグッドマンの定義した記譜的システムを用いながら、検討する章でした。音楽、絵画、文学、ダンス、建築について記譜法はそれぞれ可能なのか。
譜-記譜的システムにおける符号
スケッチ-それ自体が一つの作品である。一つの符号に準拠することが確定できない。
書-言語的システムにおける記号
またここで諸芸術が贋作可能か否かがグッドマン的分析によって分けられます。
Autograohic(贋作可能作品)
絵画、ダンス、建築
Allographic(贋作不可能作品)
音楽、文学、ダンス、建築
ダンス、建築はAutograohicとAllographicが混ざり合った過渡的な芸術となっています。
■第6章 芸術と理解
ますは絵と文の違いについて=再現的図式と図表的図式の区別について考えたところで
そこから例示と表現について諸芸術について考えます
絵画、音楽、文学における例示と表現を分析しながら統語論的システム・意味論的システム下における機能の考察を行います。
つぎに諸芸術における「行為と態度」についてグッドマン的見解と美的活動とはいったい何なのか、科学的なものと美的なものの間にある区別はどのようなものなのかを分析します。
その後も「美的なものの徴候」「価値の問題」と諸芸術における”美”についての考察の節が続きます。
最終節「芸術と理解」について
芸術と科学はどちらか一方が真理であるのか?
結論として芸術と科学における美的な記号の対応物はいずれも適切であって異なる名前で呼ばれているだけであって、同じ類のうちの種の違いであり適用領域のちがいであると述べています。
『諸芸術と科学はいずれも、特定の点で互いに一致したり異なったりする。諸々の記号システムを扱う-考案、適用、解釈、変形、操作する-ものである。』
本書の目的として[記号とは何か、記号システムとは何か、そしてそれらはわれわれの知覚、行為、芸術、科学において-それゆえまた、われわれの世界の把握と創造において-いかに機能するのか]というものでした。
じぶんたちが普段意識しない分野について扱っていたこともあり、理解することにかなり苦戦しましたが、芸術に限らず物事を記号による分析は非常に勉強になりました。
またグッドマンの言い回しや例などがわかりにくい部分があり、班でもかなり議論になった部分が多々ありましたが、あくまでも一歩引いた目で分析するグッドマンの姿勢-自分の私的な意見を徹底して述べずに客観的な分析をする-は印象に残っています。
B4 大野