04/18 B4・D1 頭出し
本日はD1の和田さんとB48人の発表でした。
M2になった今進太郎の初議事録です。
まとまりがなく、長くなってしまいました。ろくな推敲もせず、書き上げたものを丸投げしています。どうかご容赦ください。
■D1 和田隆介 「建築ジャーナリズム」の成立過程に関する研究
・目的:「建築ジャーナリズム」が戦前・戦後期において、社会・政治状況などの時代背景との関係の中での成立・展開の過程を明らかにする。
・既往研究:竹内正明「戦後日本における建築ジャーナリズムへの批判的言説について」、宮内嘉久の一連の著作
*「建築ジャーナリズム」という言葉の定義は見直しはなされていない。
・研究内容:宮内嘉久は近代日本建築ジャーナリズム史の時代区分として6つに分けている。そのうちの第1-4期(1887-1960)を対象としたい。
・既往研究の研究(思ったより焦ってる…)
・建築ジャーナリズムそのものを扱う研究→厳密さは怪しい?
・媒体・編集者・出版社研究
・近代建築運動研究の派生
【議論】
・まず、皆さんが今日でできた人物や団体の8割くらい分からないのでは?配慮をお願いしたい。
・なんでこんな研究やりたいの?モチベーションは?「やられてないからやる」はよろしくないし、それを深めるのが、ゼミでのチャレンジ。内容的にある世界の構築に見えづらい。
→業界で批評がないということが現実としてある。それ自体がどう始まったのか知りたい。建築史の中でジャーナリズムは大きな影響を与えているはず。歪んだ歴史認識がされているのでは。
→研究としてできるできないは後から考えれば良い。出発点(モチベーション・動機)があれば、目的・方法は徐々に大きくなっていく。
・第5,6期を省いたのはなぜ?
→宮内嘉久によると60年代前半で終わっているとされている。今まで見てきた中でひける線なのかなと。主役は変わってきていて、編集者を見るなら第1-4期なのでは。
・「建築報道」に関する研究なのか。建築ジャーナリズムの研究ではないのでは。
・この時代のほとんどの建築雑誌は、なんらかの運動体・組織による機関紙である。
・機関紙であるものとないものの書き手の違いは?
→機関紙は団体が書き手。機関紙ではないものは色んな人が書き手。あとは、お金の出どころ。商業誌は利益、機関紙は会費。
→てことは、対象者も重要なのでは。今の雑誌は建築家が作品を発表する場(?)。
・雑誌の種類があって、それぞれの成立背景は違う。
・第2期の「分離派建築会」結成。「白樺派」の影響とあるがそうなのですか。
・村野藤吾を批判した人たちが追われた。内部から?外部から?
→おおっぴらには謎。いろんな説がある。内部の軋轢がこの機会に顕在化したのではと見方がある。
→これを機に、編集者が雑誌の思想・方向性を色づけてはいけないとなっていった。
以下B4、8名の発表が続きます。
■三須祐介
不動産業界、2020年オリンピック、「都市をたたむ」、イベントごとに大きな開発が行われた。
・都市の開発の歴史とその時代背景
社会が都市に求めたもの、年代ごとの需要と供給、今後何が求められていくのか
・ヤン・ゲール「人間の街:公共空間のデザイン」
人間工学的な観点(人間の知覚や構造)から都市をデザイン。タクティカルアーバニズム。
【議論】
・なぜ、戦後の例を挙げた?
→民間の開発に興味がある。(でかいことしたい)
・てなると、タクティカルアーバニズムが出てきたのはなぜか?
→今まで自分になかった考え。
・いい感じの本
→新建築社、森ビルは面白い。
・イベントが起きて開発が起こるというローテーションのどこに興味があるのか?
→場所ごとに結果がどうなっているのか。
今の開発はどう?例えば六本木とか。
→プラスには捉えてない。古くからの住宅街がなぜ残ってるのか。
→日本は地主が多い。合意形成が難しい。
ひとつは住んでる人の立場からとか。
・大型の開発が起きるときに、もともとそこにいた人たちは出ていくとかあると思うけど、周辺に対してはどんな影響があると思いますか。
→環境とかライフスタイルが変わるのでは。
→飲食店の経営悪化、騒音、
周りも再開発される動きが起こる。
→地価が上がる。欲しがる人が出てくる。土地の値段。そこに住みたいと人が住めなくなる(=ジェントリフィケーション)ことが問題になる。デイヴィット・ハーヴェイの本とか読んだ方がいいよ。
■木山結
・建築における美 −日本特有の概念“間”という視点から読み解く−
スタジオ課題で、美について考えた。スケール感が関係しているのでは。
・敷地→地元の豊島区池袋本町(木密地域)
・神代雄一郎『九間論』、磯崎新『見立ての手法−日本的空間の読解−』
・外国における例も知りたい。
【議論】
・かっこいいと思う間は?
→小さめのヒューマンスケール、建築の内部空間よりかはアノニマスな都市空間の中の隙間。
→できちゃったのを磯崎的(美学的)に読むのが一番チャレンジで面白いとは思う。松岡聡・田村裕希『サイト 建築の配置図集』オススメ。
・なぜこういう隙間が生まれるか。
→施工性。工作の限界性、都市全体での排水システムも建物の並び方に影響していることもある。メンテナンス(配管、メーター)。
・西洋には“間”がない。西欧は二項対立が好き。日本は一体的。「時間」「空間」はどちらも「間」がある。この「間」によってごちゃまぜにしている。
→「時間」「空間」の未分化はイメージできない。どういうもの。西欧と日本を対立させて考える節が神代さんにもあった。
インゴルド参照すると、動くと時間とか空間は同時的に生まれる。それでいうと、磯崎さんの“うつろい”もそう。あらかじめあるものではなくて、生成するもの。要素とか動きとかによって現れてくるものに興味があった。当時の芸術家とかも関心があった(アクションペインティング)。60年代の環境芸術。
・神代/磯崎の“間”論、
アノニマスな間、
田村さんのような実践的アプローチもある。
■大野竜
・都市の構造分解と再構築
アルド・ファン・アイクの都市のアプローチ方法に興味。
都市を分解、分析の方法。自分が建築を挿入するときの方法を見つけたい。
・生物模倣による可能性
バイオミミクリー。e.g.シロアリの巣の構造を応用した冷房のいらない建築
・テリトーリオと人の流動について
【議論】
・ものとものとの「関係性」に興味があるのでは。
→確かにあるかも。
・『創発』という本も読んでいいのかなと。
・都市全体を設計してる人はいない。できるとしたらAI。
・『都市はツリーではない』
・分析だけでなく全体で捉えるとか色んな論法があると思うが、その中で自分が共感できるものを見つけることが重要だと思う。
→緻密に扱ったところで、できない。あとは、やる必要もない。パターンが取れる。
・アルド・ファン・アイクに興味があるなら、それ進めればいいし、他に興味ある都市論があれば、それ読んで進めていけばいい。
■吉田光
建築デザインにおける精神の表現
芸術を鑑賞するとき、作者の情熱に感動する。いまゴシック建築に興味がある(内面を表現している様式なのでは)。モリス、ラスキンの考えは、手が込んでるから美しいのか、前段階の情熱が美に繋がってるのでは。内面的なものが建築にどう反映させるか。表現の力(情熱)に重きをおいた建築デザイン。
【議論】
・ゴシックのどこが美しいのか。具体例・体験談
→パリのノートルダム。遠くから見ても、神秘的な雰囲気。重量のある石を使いながらの上昇意識。材料の精神化。
・モリス、モダニズム。新古典主義から入った方がゴシックを論理的に把握できるのでは。
・去年の櫻井くん(11期生)に近いのかな。古典とゴシック。対立軸。井上充夫『建築美論の歩み』
・作者の感情や精神などの情熱。ゴシックは作者の感情がないのでは。ゴシックは集合的な内面性の発露。どちらでも良いのですか。
→集合的な内面性の方。
→卒計で言えば、私の感情を表現したいですみたいのがあるが、ゴシックみたいな集合的な表現ができるのかなとか。集合的な内面性を考える方が、いいのでは。
・ゴシックについて本は読んだことがありますか。
→建築の父、ゴシック建築様式論
→ヴォリンガーの著作や、パノフスキーの『ゴシック建築とスコラ哲学』がオススメ。
■棟方佑香
都市の世界観をつくるものは何か
街の特性は何なのか。多様性と一貫性、調和と共存
対象:渋谷、銀座、、、効率を求めて作られた建物が集まっているところ
日本における外形デザインと景観を通して、ファサードデザインを考えたい。(広告とかも)
【議論】
・世界観という言葉が独特。世界観とファサードデザインが繋がるんだ。大事にしたほうがいい。
・世界観は、ファサードだけでなく、人とか文化があるのでは。
・10期生の上川はイメージの議論になっていた。
→やっぱイメージは人がもとになっている。メデイアがつけている場合もある。
→あとは、企業がプロデュースしてる場合もある。
・違うとこから参照してくる手もある。アドルフ・ロース。ダンディズムの人。
・広告デザイン、映画とか文学、音楽の歌詞でもいい。建築でないところでもある。顔とか仮面、表層に関わること。都市を分析しようと固く入りすぎると膨らみがなくなるかもしれない。言葉で考える。
・一方で、なんか気になる街とかある?
→新宿は嫌い。
→ファサードをひたすらスケッチしてみるとかもある。理論だけではく、身体使って観察してみるのもあり。
■原竹凌太朗
・デザインには、人に行動を起こさせる能力があるのでは。
・J.ギブソンのアフォーダンス。D.A.ノーマンのシグニファイヤ。
【議論】
・『セヴェラルネス』『野生の思考』も近いのかな。
・要素の分析、集成、一般化できますかね。なぜ、一般化するのか。
・サブゼミの『芸術の言語』から。灰色は灰色という熟語によって認識される。
・『コモナリティーズ』
・原竹はトゲゾーみたいなことをやりたい?
・デザイナーが期待しても、ユーザーは裏切っていくことをどう捉えるの?
→それが環境を豊かにしていく。意図していないことが起こるってことに意義がある。
■馬振鈺
・スラムとインナーシティの建築空間の在り方。
・二つの問題を解消する建築があるのか。
スラムをコントロールできないか。
【議論】
・対象にしたい場所とかありますか。
→中国。太原市。
・帰れるタイミングは結構あるのか。
→まとめて一回とかになっちゃうかも。
→論文にするなら、それだときつい…けど、中国でやった方が面白いと思う。
・インフォーマル・セクター。
・背景は、かなりややこしくなる。世界の大資本が活躍すればするほど、スラムは増える。マイク・デイヴィス『スラムの惑星』。
・まずは、中国のスラムの現状と、なぜ起きるのかを勉強しないと、行っても理解できない。
・巨大な経済の仕組みでできてるから、空間では対処できない。
■上原佳広
・多拠点居住の可能性を考える
・2拠点居住・多拠点居住
都会−田舎の2拠点。
別荘が活用されていない。(成功例:シェア・コーポラティブ)
・開拓地における建築
実家が開拓地。
【議論】
・「別荘として活用されてない」はどういうこと?
→使用頻度少なすぎ。ほぼ廃墟になってるとこもある。
・開拓地ってどこも開拓地じゃないの?
→最近、人が住むようになったところ。イメージとしては、アメリカとか北海道とか。そういう場所は建築たてるときにコンテクストがあまりないのでは。
・原武史『滝山コミューン』、都市の構造とか個人の心理の問題につながる。
・開拓する人のいる場所と開拓する場所の関係性はあるかなと。
・浜松の事例。開拓の計画性とその後の変容の話。
・もう一つは建物の話。アメリカの西へ、西へ。その時に、バルーンフレーム。開拓の伝統が残ってる。沖縄では、コンクリートブロック造。熟練労働はいらない。
・よっしーの実家周辺はコンクリートブロック造。聞き取りと実測を通して、わかるのでは。もちろん、生業(酪農)のことも聞くとよい。
終盤になるにつれて、メモみたいになってしまいました。。。
決して内容が薄かったわけではありません。議事録の密度を維持できなかったぼくの力量不足です。今回も楽しい話がてんこ盛りでした。これからも、各々の興味をがしがし掘り下げていきましょう。
せっかくの機会なので、個人的なゼミへの態度を語ってしめたいと思います。ぼくは、お前がいないと議論が盛り上がらないなって存在になるべく、議論の難易度に関わらず、必死に盛り上げようと意識してます。ゼミの活発さや個人の吸収量、知識のぶつけ合いの激しさといったことを、青井研の強みとして継承していこうと毎回もがいています。
以上です。
M2 今