サブゼミD班 第3回目

サブゼミD班第三回目は1,2回目と同様の著者サッセン(伊藤茂訳)のグローバル資本主義と<放逐>の論理―不可視化されゆく人々と空間』(明石書店、2017)を読んでいきました。

 

グローバルシティを扱ったことで経済のグローバル化による都市の変化や、グローバル化が具現化する場として都市があることを理解しました。そこでD班では現在の状況をサッセンがどのように考えているのか、また自分たちが都市の中で今後どのようなことに注意してみていくべきなのかといったことを見ていくことで展開が広がっていくのではないかと考えました。

 

サブゼミ1回目と2回目のまとめ

http://aoilab-seminar.hatenablog.com/entry/2017/07/26/001805

http://aoilab-seminar.hatenablog.com/entry/2017/09/30/190000

 

この本ではグローバルな政治経済の中で新たな放逐の論理の出現が起こり、過去20年で中心的な社会・経済秩序から放逐されるものが急増し1960年代から起こっていた包摂からグローバルシティで扱った80年代を過ごし現在では放逐が起きていることをいろいろな事例から見ていきます。

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例えばギリシャの財政危機や民間刑務所の誕生、サブプライムローン問題や大規模土地所得...。大規模土地所得は外国や多国籍企業によって行われその国に存在する法律と民族が持つ慣習法によって現地の人と買収する人との抗争が生じ犠牲が生じたり、政府の運営していた刑務所が民間の経営になることによって本来の意味(危険な人から市民を守る)から利益を重視した刑務所の運営に変化したりといったシステムからの放逐を見ていきました。

また、サッセンはこのような社会のシステムからの放逐が起こることで近代国家や経済の標準的尺度でみることができず、ローカルな経済、新たな歴史・メンバーシップの形態を形成する新たな空間となる可能性があることを述べています。

 

自分たちが全3回を通して感じたことは、現在のグローバル化で空間に影響が及んでいる状況を研究室の活動であるtORプロジェクトのように空間を見ていく際に忘れてはいけない重要なファクターとなっていることを改めて感じました。また2020年のオリンピックなど今後グローバル化が空間に現れる大きな契機ではないのかといった議論も起こりました。

 

現在グローバル化という言葉が多用されているようなイメージがありますが、その内情を知らないまま使っていて、サッセンを読み解くことでグローバル化によってどのようなことが起こっているか、またその影響が空間に現れているということを知ることができました。

個人的には様々なことにアンテナを張って色々なことにつなげていきたいと思います。

 

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