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サブゼミA班1回目 『植物の生存戦略「じっとしているという知恵に学ぶ」』

5/2は2014年度最初のサブゼミでした。

4班あるうちのトップバッターは、通称「植物班」と呼ばれている佐藤・吉田・城・竹内・門間の5人が担当しています。

この本を取り上げる背景として、まず大きなテーマとして「じっとしている」という点では植物も建物も似ているという視点から、植物の形態形成の論理を学ぶという目的があります。

先生に指定されて、1回目で扱った書籍は

「植物の軸と情報」特定領域研究会編 

『植物の生存戦略「じっとしているという知恵に学ぶ」』 朝日新聞社 2007年

です。

              植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821)

 

ここでは専門的な最新の研究結果が読みやすく紹介されています。

サブゼミでは、この本を全般的に取り上げ、全員で理解ができるように進めていきましたが、ブログでは特に議論になった点を中心に取り上げていこうと思います。

 

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□植物と動物の違い

・動物は上下、左右、前後の3つの軸を持ち体の各部分が位置情報を持つのに対し、植物は上下と内側外側の2つの軸しかなく、左右と前後の区別はつかない。

・動物は完成された状態で生まれてくるのに対し、植物は同じ期間を繰り返すことで成長する。

・動物の器官は、脳・目・肺・胃など多数あり複雑。植物は茎・葉・根の3つのみ。

 

□葉の補償作用

葉の遺伝子(遺伝子=個体固有のプログラム)に変異体のあるものを用い多実験では、ある遺伝子が働かないことによって葉の長さや幅が規則的に変化をすると同時に、小さくなるようにプログラムされた葉では、細胞一つ一つが通常の物より大きくなる現象が見られた。

プログラムレベルのデジタルな変化と、その状況に適応しようとするアナログな変化が起こっていると考えられる。

 

□花を咲かせる仕組み

植物の体の働きは植物ホルモンと呼ばれるさまざまな物質によって調節されているため、花成を促す花成ホルモン(仮想の物質フロリゲン)があると考えられていた。しかし最新の研究では、花成に適した条件を察知するFT遺伝子が反応し、FTタンパク質を茎頂に運び、茎頂が茎頂であるための位置情報となるようなFD遺伝子の作るFDタンパク質の2つが茎頂に揃うことで働くAP1遺伝子によって花芽が形成されるということがわかった来た。FT遺伝子を中心とするシステムが成り立たなかった場合はほかのシステムが働いて花成を促す。

要約すると、ある単純な物質で成り立っているのではなく、状況に応じて様々なシステムが作用する冗長性を持っているということでした。

 

□花の形づくり‐ABCモデル

変異体を用いて花の形づくりはABCモデルという単純な3つの要素で語ることができる。

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ある器官が別の器官に形式は保存されながら置き換わる。

変異体であっても全くバラバラな器官の置き換わり方をするのではなく規則性がありシステマティックである

また、系統樹的に離れているシロイヌナズナとイネにおいてABCモデルを用いて説明できるためその仕組みは共通している。

 

□受精のメカニズム

もっとも進化している被子植物では重複受精が行われていて、胚と胚乳を同時に作っている。

じっとしているために子孫のための場を整えることができないので、どこへ行っても発芽できるように栄養を一緒に創り出す。確実に子孫が残せるものに無駄なくエネルギーを使う。

 

□高性能環境センサーとして働く根

体の向きに関係なく、重力のほうへ向かって根を伸ばす、重力屈性を持つ。オーキシンの濃度の濃淡によって成長速度を変え根を曲げていく。

根粒菌共生する。マメ科の植物は根粒菌共生し、植物に必要なアンモニウムイオンと引き換えに根粒菌にエネルギーを供給している。しかし、根粒ができすぎると栄養分をとられすぎてしまうので、根の根粒菌の数を感じ取り植物の地上部に伝えて数を制御するシステムがある

 

□維管束

植物は維管束を発達させることにより、水を地上から上部まで運べるようになり巨大化できるようになった。維管束は細胞を計画的に死なせることによってできている。維管束が管としてつながるために、形成時には周辺の細胞とコミュニケーションをとる。

じっとしているためにより多くの光と水を得るために表面積を大きくして立体化した。そのための重要なネットワークの機能を維管束は担っている。

 

□植物ホルモン

植物は部分を繰り返すことで成長する。しかし成長するのは頂芽のみで脇芽は基本的に成長が止まっている。植物ホルモンのひとつである、オーキシンが脇芽の成長を抑制していて、頂芽がなくなってしまった時には脇芽が成長をする。このメカニズムは頂芽が折れることに反応するのではなく、頂芽付近にあった「オーキシンがなくなった」という信号に反応したものであることがわかっている。

 

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かいつまんで、植物班で紹介したことを簡単にまとめましたが、この本からわかった知見としては、

・デジタルで極めてシステマティックなデジタルな部分と、状況に応じてアナログな変化をする遺伝子では説明のつかない冗長性をもつシステムがうまく働いているということ

・ある現象に対して一つの植物ホルモンが対応しているわけではなく、その時々の環境の中で働いたり、物質がなくなるということが情報になりえるということ

でした。

 

先生から課題図書として出された『植物の成長戦略「じっとしているという知恵に学ぶ」』は1週目で読了しました。

おつかれさまでした。

 

M2さとうあやな