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サブゼミA班三回目「設計プロセス進化論」とアノニマスな建築

遅くなりましたが、7/3にA班(グレゴリー・ベイトソン『精神と自然』新思索者(2006)を読んで)の発表を行いました。

 

今回、ものができあがる過程・プロセスに焦点を当て、ベイトソンの議論でいう[キャリブレーションとフィードバック]の作業を行いました。

  

キャリブレーションとフィードバック]とは

あらゆる精神の過程(思考、学習・・・)で、ある定点・類型・形態(=キャリブレーション)があてがわれたとき、そこから新たな関係性を導き、一つメタレベルの関係性をもつキャリブレーションを追究していく(=フィードバック)過程です。

例:散弾銃射撃の学習

散弾銃の射撃では、射撃=照準であるので一度の射撃で狙いを定める間に、修正のプロセスを介入させることはできない。前回の射撃を参照することでしか、学習はできない。

(ライフルは照準を合わせ、一度の射撃で修正しつつ狙いを定められる)

つまり、一度の射撃=定点(キャリブレーション)であり、前回の射撃との比較(フィードバック)でしか、次の射撃のより高い精度は導きだせない。

 

 

 この過程を『設計の設計』(柄沢祐輔INAX出版 2011)より松川昌平の「設計プロセス進化論」に当てはめます。

松川昌平は菊竹清訓「代謝建築論」から<か><かた><かたち>のプロセスを持ち出し、さらにそれぞれの間には設計者の類推・判断のような<かち>の段階があると主張し、進化論を組み立てていきます。

ベイトソンに当てはめると、これらのプロセスは以下の様になります。

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上に行くほど、キャリブレーションはより論理階型があがっていきます。

 

さらに設計プロセスに関わる四つの環境を挙げています。

・環世界:設計者自身で作り出す、主観的な世界認識

・実環境:自然環境と人工環境を組み合わせたもの

・社会環境:他者と図面や模型を共有するテーブルのようなもの(班内)

・情報環境:データベースとして、誰でも自由にアクセスし利用できるもの

 

 

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<か><かた><かたち><かち>の各プロセスが、以上の環境において、外部化されているか、されていないかで世代が分かれます。(外部化されることで、そのプロセスは進化する)

進化論は製作者の環世界のみで建物を作る無自覚なプロセス(第一世代)→→全段階が情報環境に外部化された、他者からアクセス可能なアルゴリズミック・デザイン(第八世代)へと展開されます。

 

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その後、建築家の設計プロセスを世代に当てはめる作業を行いました。

 

議論ではそれぞれの世代を時間軸と共に考え、そこから湧き出る論理の不足点、世代の位置づけなどを確認することができました。

(肝心な議論の詳細は、理解不足と説明下手ゆえに、長文になってしまうので割愛します。)

また各段階が外部化され、他者がアクセス可能になると設計プロセスそのものが生物のストカスティックな進化の過程のような、自然発生理論に基づくプロセスと化していくことが、ベイトソンの議論とつながります。

 

次にそのようにアノニマスな、現代の「建築家なしの建築」を目指すものとして、吉村靖孝の「CCハウス」を取り上げます。

このプロジェクトでは、建築家の“建築”が共有可能となることで、外部化された<かたち>が建築家の手を離れたところで、よりアノニマスに転用・改変されていく点と、その経歴を参照可であるという点に可能性があります。

ベイトソンの議論をふまえて見ると、これが実現し、ドライブしていけばより自然発生理論的な建築・都市が実現可能であると強く感じます。

 

 

うまくまとめられませんが、以上A班の三回目については以上です。

 

『精神と自然』に触れ、いろいろなことを考えましたが、

とにかく、何にも増して、本来気付くことのなかったたくさんのことに気がつくきっかけを与えてくれたベイトソンに感謝です。

 

随所で論理階型を意識することの大切さを感じ、逆に逐一考えてしまうことでわからなくなる、、、よくも悪くも、現在フィードバック過程にあると感じます。

いつか新たな定点に自分をあてがえるように、また頑張りたいと思います。